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マリアンヌ・フェイスフルを助けたい 一人の女性の決心が生んだトリビュート・アルバムに込められた想いを紹介

2023/12/07 18:19掲載
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VA / The Faithful: A Tribute to Marianne Faithfull
VA / The Faithful: A Tribute to Marianne Faithfull
マリアンヌ・フェイスフル(Marianne Faithfull)は2020年、新型コロナウイルスで重病となり、一命を取り留めましたが、彼女の肺は二度と歌えないかもしれないところまで悪化しました。新型コロナは彼女に、新たな収入源を失う可能性と、長い入院生活から回復するための莫大な費用という二重の打撃を残しました。そんな彼女を少しでも助けたいと一人の女性が決心して制作されたのが、フェイスフルの新しいトリビュート・アルバム『The Faithful: A Tribute to Marianne Faithfull』でした。このトリビュート・アルバムに込められた想いを、英ガーディアン紙が紹介しています。

フェイスフルは2020年、新型コロナで意識を失い、集中治療室に運ばれました。助かる見込みはほとんどなかったというほどの状況で、フェイスフルは1年後、ガーディアン紙のインタビューの中で「私が覚えているのはとても暗い場所にいたということだけです。おそらく、それは死だったのでしょう」と話していました。フェイスフルは一命を取り留めましたが、ウィルスの激しさと肺気腫の基礎疾患が重なり、彼女の肺は二度と歌えないかもしれないところまで悪化しました。

そんな彼女も少しでも助けたいと決心したのは、女性ロック・ミュージシャンの活動を記録する“Women of Rock Oral History Project”を率いるターニャ・ピアソンでした。

ピアソン:
「マリアンヌのためにできるだけ多くのお金を稼げるようなものにしたかった。ベネフィット・コンサートを開くことも考えたけど、当時はまだパンデミックが続いていました」

その代わりに彼女は、フェイスフルがレコーディングした有名な曲をカヴァーするスターたちをフィーチャーした、トリビュートとベネフィットを兼ねたアルバムを作ろうと決めました。プロジェクトは2年以上前に始まりました。

ピアソン:
「時間と労力を提供してくれるミュージシャンを見つけることは簡単だったけど、利益を放棄してくれるレーベルを見つけるのは、とにかく大変だった」

まず、彼女は、フェイスフルのアルバムをリリースしたことがあるBMGやアイランドといった大手レーベルに挑戦しましたが「彼らは皆、“マリアンヌは大好きだけど、それはできない”と言っていた」。探し回った末、ピアソンはようやくIn the Qという小さなレーベルを見つけました。

アルバムに参加しているのはイギー・ポップ(Iggy Pop)キャット・パワー(Cat Power)、ガービッジのシャーリー・マンソン(Shirley Manson)リディア・ランチ(Lydia Lunch)、L7のドニータ・スパークス(Donita Sparks)トレイシー・ボーナム(Tracy Bonham)ピーチズ(Peaches)、ブッシュ・テトラス、ジョーン・アズ・ポリスウーマンなど。

このアルバムに参加しているアーティストのほとんどが女性ですが、ピアソンは、それはもっぱら彼女が率いる“Women of Rock Oral History Project”を通じて得た業界人脈によるものだと語っています。

このトリビュート・アルバムを制作するにあたり、ピアソンはフェイスフルと定期的に連絡を取っており、フェイスフルも音楽の出来上がりを気に入っているという。

ピアソンによると、最近のフェイスフルは、呼吸器系の問題とブレインフォグ(※頭の中に霧がかかったようにぼんやりとしてしまい、考えることや集中することが難しい状態)に悩まされ続けているという。それでも、もっと声を取り戻したいと思って歌のレッスンを受けているとピアソンは話しています。

ピアソンは、このアルバムが単にフェイスフルのために資金を集める以上の効果を発揮することを願っています。

「このアルバムに参加しているアーティストのファンの多くは、おそらくマリアンヌのことを知らないでしょう。私の願いは、彼らがこのアルバムを聴き、そして彼女のアルバムを聴いて、彼女の音楽が何世代にもわたって生き続けることなんです」

このアルバムは12月8日発売。現在、2曲が先行公開されています。

Cat Power & Iggy Pop – “Working Class Hero”


Tanya Donelly & The Parkington Sisters – “This Little Bird”


■『The Faithful: A Tribute to Marianne Faithfull』

Disc 1
01. Tracy Bonham – “As Tears Go By”
02. Tanya Donelly & The Parkington Sisters – “This Little Bird”
03. Josie Cotton – “Summer Nights”
04. Sylvia Black – “Sister Morphine”
05. Cat Power & Iggy Pop – “Working Class Hero”
06. Shirley Manson & Peaches – “Why D’Ya Do It”
07. Pom Poms – “Brain Drain”
08. Bush Tetras – “Guilt”
09. Joan as Policewoman – “Broken English”
10. Tammy Faye Starlite & Barry Reynolds – “The Ballad Of Lucy Jordan”

Disc Two
01. Honeychild Coleman – “Over Here (No Time For Justice)”
02. Adele Bertei – “Times Square”
03. Nicole Atkins & Jim Sclavunos – “Strange Weather”
04. Lydia Lunch – “Love, Life, and Money”
05. Cynthia Ross (the B Girls) & Tim Bovaconti – “Vagabond Ways”
06. Donita Sparks – “Sliding Through Life on Charm”
07. Miss Guy – “Sex With Strangers”
08. FaithNYC – “Kissin’ Time”
09. Feminine Aggression – “Before The Poison”