世界中の音楽ファンはAIについてどう思っているのか 国際レコード産業連盟が調査 8割は「音楽の創造には人間の創造性が不可欠」
2023/11/27 20:55掲載
AI Music - Illustration: VIP+; Adobe Stock
全世界の音楽産業の売り上げの集計やその他のデータなどを取りまとめている団体「国際レコード産業連盟(IFPI)」は、世界中の音楽ファンはAI(人工知能)についてどう思っているのかを調査。26カ国の43,000人以上から回答を得たレポートを発表しています。
この調査は、世界中のファンが音楽とどのように関わり、音楽についてどのように感じているかを調査するIFPIのグローバル・レポート「Engaging with Music 2023」の一環として行われたものです。26カ国の43,000人以上から回答を得たこのレポートは、この種の音楽調査としては最大規模のものだという。
調査によると音楽ファンの10人に8人近く(79%)は、音楽の創造には人間の創造性が不可欠であると考えています。
また、生成型AIが既存のアーティストの楽曲を取り込んだりコピーしたりできることを知っているファンにとって、アーティストの楽曲の使用許諾は絶対に譲れないものだと考えています。76%が、アーティストの音楽やヴォーカルを許可なくAIが使用したり、取り込んだりすべきではないと考えており、さらに74%が、許可なくアーティストのクローンやなりすましにAIを使うべきではないと考えています。ファンの大多数は透明性の必要性も支持しており、73%がAIシステムは使用した楽曲を明確にリストアップすべきだと回答しています。
IFPIのフランシス・ムーア最高経営責任者(CEO)は、次のように述べています。
「世界中の音楽ファンは、人工知能が音楽にもたらすチャンスと脅威の両方を見ていますが、彼らのメッセージは明確です。それは、信ぴょう性が重要だということです。特にファンは、AIシステムは事前に許可を得た場合のみ音楽を使用すべきであり、システムによって取り込まれた素材について透明性を保つべきだと考えています。これらは、計画策定者が責任ある安全なAIの基準を導入する方法を検討する際に、タイムリーな注意喚起となるでしょう」
「Engaging with Music 2023」のAIに関する調査結果は以下の通り
●音楽ファンの89%がAIを認知しており、多くの人が関心を持っている。
●音楽ファンの10人中8人近く (79%) は、音楽を創造するためには人間の創造性が不可欠であると考えている。
●AIの能力を知っているファンは、音楽の使用許諾は非常に重要だと考えている。
76%が、アーティストの楽曲やヴォーカルを許可なくAIが使用したり、取り込んだりすべきではないと考えている。
74%は、許可なくアーティストのクローンやなりすましにAIを使うべきではないと考えている。
73%が、AIシステムが取り込んだ音楽やトレーニングに使用した音楽を明確にリスト化するべきだと考えている。
70%がAIの能力に制限を設けるべきだと考えている。
64%は、AIができることに制限を設ける役割を政府が果たすべきだと考えている。