世界各地のルーツ・ミュージックへの深い造詣で知られる
ライ・クーダー(Ry Cooder)が、キューバ音楽界の古老たちと作りあげたアルバム『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ(Buena Vista Social Club)』(1997年)。この作品にインスパイアされた新しいオフ・ブロードウェイ・ミュージカル作品『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』がニューヨーク市マンハッタンのアトランティック・シアター・カンパニーで上演されています。これにあわせて米ニューヨーク・タイムズ紙がミュージカル版を特集しています。
このプロジェクトは、数年前、アルバムの劇場権を持つプロデューサーが、キューバ系アメリカ人の劇作家マルコ・ラミレス(Marco Ramirez)に声をかけたことから始まりました。
ラミレス:
「最初の質問は“このアルバムを知っているか?”だった。このアルバムが発売された頃に育ったキューバの子供にとって答えは“もちろん”でした。次の質問は“ここに演劇があると思うか?”でした」
その答えを探すためにラミレスはキューバに行き、そこでキューバ音楽界の古老たちに話を聞きました。
ラミレス:
「その中心にある感情的な真実を見つけることでした。僕にとってこの作品は、最終的には、自分の過去を見つめ直したり、何かを正したり、あるいはただ青春時代を思い起こすという不思議な機会を与えられた人々の物語なのです」
この作品では、かつての仲間の再結集という形でアルバム制作がドラマチックに描かれるだけでなく、フラッシュバックを通して、ノスタルジアと後悔に満ちた、ミュージシャンたちの青春時代である革命前の黄金時代の1950年代キューバが再現されています。すべて実在の人物や出来事にインスパイアされたものだという。作品の台詞は英語ですが、幅広いブエナ・ビスタの作品から集められた曲はスペイン語のままです。
ミュージカル版はSaheem Aliが演出し、パトリシア・デルガドとジャスティン・ペックの夫婦チームが振付を担当しています。
構成上、実在したブエナビスタの個性的なキャラクターをそれぞれ演じる2人(若者と老人)を探す必要があったため、キャスティングは大変だったという。Saheem Aliは「オリジナルと同じように歌い、演じられるパフォーマーを見つけなければならなかった。私たちは、音楽を真実味のある形で体現できる人を国際的に探しました」と振り返っています。
■ミュージカル『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』公式サイト
https://atlantictheater.org/production/buena-vista-social-club/