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シャチが船に衝突する事故が相次ぎ困った船員、怖がらせるために水中スピーカーからヘヴィメタルを流す…が逆効果だった

2023/11/21 07:52掲載
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Orca - Getty Images
Orca - Getty Images
シャチの群れが船に衝突する事故が相次いだため、ある船員は怖がらせるために水中スピーカーからヘヴィメタルの音楽を流す。が、研究者によると、これは逆効果で、シャチに自分たちの居場所を正確に伝えることになる可能性があるという。実際、この船員は「ヘヴィメタルは効果がないようだ」と述べています。また研究者は、この行為は海の騒音公害を増やすことになるとも警告しています。

米ニューヨークのBusiness InsiderやThe Maritime Executiveなどによると、過去3年間、ヨーロッパの南西に位置するイベリア半島付近では、シャチの群れが帆船に衝突し、時には船が沈没することになる事件が相次いだため、この地域の船員たちはシャチを抑止する方法を模索しています。

あるドイツ人船員は、政府が推奨する対応策(エンジンをかけ、モーターで急発進させる)だけでなく、水中に砂を撒くなどの自家製アイデアも試してみました。その中で、シャチを追い払うために水中スピーカーからヘヴィメタルの音楽を流してみたと、ニューヨーク・タイムズ紙に語っています。

この船員の船は、ヨーロッパ大陸とアフリカ大陸を隔てるジブラルタル海峡を横断中、舵を乱打するシャチの群れに遭遇。船員たちは、モダン・メタルの中でも特にヘヴィなバンドをフィーチャーした「シャチのためのメタル」と名付けられたプレイリストを流します。しかし、シャチたちはこの音楽を迷惑に思ったのか、それとも刺激になったのか、抑止力にはならなかったようで、すぐに舵に頭をぶつけて船の操舵を不能にしました。

この船員は自身の経験から「ヘヴィメタルは効果がないようだ」と同紙に語っていますが、船員たちのディスカッション・グループの中には、ヘヴィメタルがシャチを追い払うのに効果的だと報告している船員もいます。

効果があるかどうかは別として、ブリティッシュ・コロンビア大学の海洋哺乳類研究ユニットのディレクター、アンドリュー・トライテスは、シャチを避けるために派手で爆音な曲を使うと、シャチが船を見つけやすくなるとBusiness Insiderに語っています。

「最初のうちは、水中で大音量の音を流すことで、船の特徴的な音を隠すことができるかもしれません。しかし、最終的にはシャチがそれに気づき、それを流している船をより簡単に見つけるために使うでしょう」

またトライテスによると、シャチは人間よりも高い周波数を聞くことができるので、シャチが認識するようになった船の音を隠そうとするのは無駄なことなのだという。ヘヴィメタルに限らず、どんな音楽でも、シャチが船に近づくのを躊躇させるのに効果的なのは、動物を傷つけて聴覚障害を引き起こすほどの大音量で流す場合だけだとトライテスは言っています。当然、このようなことは絶対にすべきではありません。

さらにトライテスは、船員がこの方法を採用した場合、最も有害な結果は、海の騒音公害が増えることだと語っています。

「どんな種類の音楽であれ、水中で音楽を鳴らすことの最大の問題は、結局のところ、他の海洋生物に有害な影響を与える可能性のある騒音公害を海に増やすだけだということです」

NOAA(アメリカ海洋大気庁)によると、音を頼りに仲間を引き寄せ、友人や家族とコミュニケーションをとり、食料源を追跡し、捕食者を避け、海を航行する海洋動物にとって、騒音公害はすでに大きな問題となっているという。水中では音が空気中よりも速く遠くまで伝わるため、水中生物にとって有用なツールになっていと、科学者らは説明しています。人為的な騒音汚染は、船舶、風力タービンによるエネルギー生産、海底採掘、さらには低空飛行の飛行機など、さまざまな原因から生じています。