曲の下書きができて、“Eileen”の草稿もできた。リハーサルに曲を持って行ってバンドに見せるのは、いつも緊張する。自分では良い曲だと感じても、それがゴミのような曲だったら笑われるかもしれないし、“くだらない。そんなのプレーしない”とか言われるかもしれない。持ち込んだこの日は、特に緊張した日だった。僕はバンドにコードを教えて、ジムはブラスの人たちに何を演奏するかを教えたりしていた。バッキング・ヴォーカルはみんなにやってもらった。でも♪Come on Eileen、ta-loo-rye-a......という部分の歌詞は、まだなかった。アイデアを出すために、みんなにはbap bap bap bap ba ra ra ra, bap bapと歌ってもらった。
彼のバンド、ブルー・オックス・ベイブスには“What Does Anybody Ever Think About”という曲があった。その曲にもヴァイオリンによるブレイクダウンとスピードアップがあった。つまり、僕の独自なアイデアではなかったんだけど、珍しいアイデアだったんだ。だから、基本的にそれを真似たんだよ。ケヴィンは今日に至るまで印税のかなりの割合を受け取っているし、今後もそうするだろうね。
(ミュージックビデオの)監督はジュリアン・テンプルが務めることになった。ジュリアン・テンプルのことは知っていた。彼はセックス・ピストルズの初期の作品を撮影し、『The Great Rock 'n' Roll Swindle』も手がけたけど、(僕らに提案した最初のアイデアは)正直言ってかなりひどかった。僕たちはイギリスのビッグ・ポップ・ショー『Top of the Pops』に出演した。彼は昼休みにやってきて“こんなアイデアがあるんだ。君たちは全員クラブにいる。みんなスーツを着ている。ウェイトレスの名前はアイリーンだ”と言った。僕は“それはちょっと......”と言い、こういう風にした方がいいと思うんだと言って、僕たちが考えていたストーリーを説明した。どこから思いついたのかわからないけど、そのアイデアが浮かんだんだ。