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マーティ・フリードマン「僕の人生を変えた10枚のアルバム」発表

2023/11/03 18:02掲載
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Marty Friedman
Marty Friedman
マーティ・フリードマン(Marty Friedman)は「僕の人生を変えた10枚のアルバム」発表。Classic Rock History企画

# 1 KISS / Alive!

「これは、僕にミュージシャンであること、そして演奏するとき、どういうわけか底なしのエネルギーの井戸を見つけるタイプのミュージシャンであることを強いたアルバムだった。今でも興奮するよ。このアルバムを聴く前は、これほどエキサイティングなものはなかった。このアルバムは、コンサートとは何なのかという僕の考えを完全に変え、コンサートのあるべき姿を形作ってくれた。10代前半でこのアルバムに出会ったことは、おそらく多くのロックスターを夢見るきっかけになっただろうね」



# 2 The Ramones / Leave Home

「これを買ったのは、革ジャンを着た4人組がかっこよく見えたから。僕は50年代のものが大好きな子供だった。ダイムストア(安物雑貨店)の不良みたいな連中が、どんな音楽を作っているのか興味があった。このアルバムに一瞬で恋に落ちた。これほどパワフルなものは聴いたことがなかった。ビーチ・ボーイズやガールズ・グループのポップな影響を受けているなんて、ジャケからは想像できなかったよ。大音量のバズソー・ギターと暗くて滑稽な歌詞にただ圧倒された。ギターを弾き始めた頃にこれに出会ったのは幸運だった。すぐに弾けたし、僕に大きな達成感をもたらしてくれた」



# 3 American Graffiti Soundtrack

「僕の最も好きな映画であり、最も好きなサウンドトラック。ビートルズが登場した後に起こったことは、すべてまあまあだったけど、比較的重要ではなかった。1955年から1963年までのポップミュージックには、僕が楽しめるものがたくさんあった。ロックが生まれ、バラードはロマンチックで、ポップミュージックは、それまで自分たちに向けた音楽を聴いたことがなかった若者たちのために作られた、簡略化されたジャズのスタンダードのようだった。それは輝かしいものだった。この4面アルバムは最初から最後まで素晴らしく、曲順は数え切れないほど観た映画とまったく同じだった」



# 4 Garbage / Garbage

「曲のメイン・リフやギター・ソロとしてではなく、素晴らしい曲の枠組みの中で、素晴らしく、巧みで、面白いギター・パートが常に使われているアルバムを聴いたのはこれが初めてだった。数え切れないほどのユニークでエキゾチックなギター・フック。このアルバムを聴いて、ソングライティング、ギター・プレイ、レコーディングについて改めて考えさせられた。このアルバムとその後のガービッジのアルバムには、革新的なギター・パートがたくさんある。彼らの良いところは、ギタリストに注目させるのではなく、ヴォーカルと曲を完全にサポートしていること。ギターをそのように使うのは絶妙な芸術だ。こんなにも新鮮でキャッチーな曲もある」



# 5 松浦亜弥 / T.W.O.

「亜弥のとびっきりキュートなヴォーカルと、つんくプロデューサーの圧倒的で革新的なサポートメロディーの使い方とトリッキーなアレンジが、このJ-POPアイドルのアルバムをたまらなく魅力的なものにした。非常に複雑なアレンジと、対位法的なメロディ、フィル、バッキング・ヴォーカルが、激しいジェットコースターのようなハッピー・ポップを生み出している。分析し始めない限り、その複雑さに気づくことはない。僕はそれが大好き。日本人以外のミュージシャンにこれを聴かせると、まず最初にこう言う。“マジか、クレイジーだ、情報を詰め過ぎだろう。どう処理すればいいのかわからない”。そして次に“これは天才的だ”と言うんだよ」



# 6 Phil Spector / A Christmas Gift for You from Phil Spector

「これは史上最高のアルバムかもしれない。このアルバムの細部には消化しなければならないことがたくさんあるけど、この作品を聴いているだけで幸せな気分になれるので、そんなことは簡単に無視できる。アレンジも演奏も神がかった唯一無二なもので、よく知られたメロディーにこれまで以上の愛情を注いでいる。このアルバムは、音楽が持つ力を讃え、聴く人それぞれのクリスマスの思い出を即座に呼び起こすだろう。それは純粋な喜びである。僕はクリスマスは祝わないんだけどね...」



# 7 Elvis Presley / Elvis ’56

「僕は世界的なエルヴィス・マニア。世界中の彼のレコードを1000種類以上持っていて、9歳の頃から彼の作品を集めている。エルヴィスが大好き。1956年は彼の中で最も好きな年で、このアルバムはその年の彼の全作品を紹介していて、圧倒される。その1年だけで、彼は音楽を完全に変えてしまった。そして、僕たちは今なお、彼がその年に行ったことに影響を受けている。エルヴィスの映画で最近、エルヴィスを知ったばかりの人に、このアルバムを薦めたい。マスタリングがとても良く、まるで今日レコーディングされたかのようなサウンドで、コントロールルームで聴いているかのようなクリアさがある」



# 8 美空ひばり / ベスト・オブ

「おそらく日本史上最も有名な歌手である彼女のヴォーカルは、とてもエモーショナルで、まるで人間の力を越えた大きな力と、彼女に耳を傾ける地上の人々の間の指揮者のようなもの。豊かな天の音色が、表情豊かに彼女の唇から自然にこぼれ落ちる。僕はギターで彼女の声を模倣することに多くの時間を費やし、それが僕のギター・プレイ・スタイルを大きく形成した。他のギタリストの影響を受けて、多くのギタリストがやっているような典型的なフレージングではなく、人間的な表現を感じながらメロディーやソロを弾くことができるようになった。ひばりさんの歌声は、僕の涙腺を刺激する」



# 9 Andrew W.K. / I Get Wet

「これが出た時はびっくりした、特にサウンド面で。ヘヴィ・メタル・サウンドでありながら、音楽的には僕が大好きなアイドル・シンガーのようにポップで楽しかった。巨大なギターの壁があり、ドラムが録音され、そのようにアレンジされているため、耳に即座に、そして非常に露骨に襲いかかってきた。これほどまでに興奮するような、削ぎ落とされたパワフルなドラムを聴いたのは初めてだった。このアルバムから拝借したユニークなレコーディング・テクニックは山ほどあって、最終的にアンドリューとたくさんのコラボレーションをしたときは、本当にエキサイティングだった。ラモーンズのように、アンドリューのレコーディングにはどの部分にも無駄な脂肪が一切なく、意味のないリフやフィル、エフェクト、ディレイもない。赤身の肉だけ。このアルバムは、僕のレコーディング方法に永続的な影響を与えた」



# 10 Astor Piazzolla / Adios Nonino

「ピアソラの音楽は非常に暴力的であり、ロマンチックであり、穏やかあり、モダンであり、攻撃的であり、メランコリーであり、複雑である。その構成や演奏者の能力にも驚嘆するけど、それ以上に重要なのは、それを聴いたときに独特の快感を覚えること。コントラストと不協和音の効果的な使い方に毎回やられる。メロディーと独特の対旋律にとても影響を受けた。ハリウッド・ボウルでロドリーゴ・イ・ガブリエーラとピアソラの曲を演奏できたのは光栄だった。また、ブエノスアイレスのウジナ・デル・アルテで、アストル・ピアソラの孫のピピとも演奏した。巨大な音楽的挑戦というよりは、アルゼンチンの人々と僕との愛の祭典のようなものだった」