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騒音問題にピンポン玉が役立つことが判明 主に低周波騒音に効果的な吸音材に 最新研究結果

2023/10/11 15:56掲載(Last Update:2023/10/11 16:03)
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ピンポン玉
ピンポン玉
騒音問題にピンポン玉が役立つことが判明したという。科学者によると、ピンポン玉にいくつかの改良を加えることで、この軽量のプラスチック球が、主に低周波騒音に効果的な吸音材として機能することがわかったそうです。

リール大学とギリシャのアテネ国立工科大学による共同研究チームは、ピンポン玉をヘルムホルツ共振器(※騒音を下げることを目的として、自動車用エンジンの吸気系、建物の壁材などに幅広く使われている)として利用した音響メタサーフェス(人工構造体)を作り上げました。

研究著者のRobine Sabatはメディアリリースでこう述べています。

「ピンポン玉はよく知られた日常的なもので、世界中にたくさんあります。私たちの動機は、このような簡単に手に入るものを使って低周波絶縁パネル構造を作ることでした。ピンポン玉は、低コストとリサイクルの可能性の両方において、音響絶縁材の経済的な代替品となるものなのです」

音響メタサーフェスは、音波を制御するために意図的に設計された材料です。この研究のメタサーフェスは、ヘルムホルツ共鳴器を模した、小さな穴のあいた空洞のピンポン玉で構成されています。

空きびんに息を吹き込むと「ボー」という音がなることがありますが、このような場合、容器の中で共鳴が起きており、この現象をヘルムホルツ共鳴と呼びます。ヘルムホルツ共振器は、開口部を持った容器の内部にある空気がばねとしての役割を果たし、共鳴(共振)することで音を発生する装置です。

研究者たちは、穴のあいたピンポン玉を格子状に並べたようなパネルを作りました。これにより、吸収できる共振周波数の範囲が広がりました。研究チームは、ボールの数、ミシン目の数、ミシン目の大きさを変えることで、高価な材料に頼ることなく効果的な吸音パネルを設計できることを実証しています。

※実験の写真

(credit: Sabat et al.)