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スライ・ストーン 自分の大ファンである売人を騙して制作中アルバムの偽テープとの交換で麻薬を手に入れる 売人は偽物だと知っても大切にすると話す

2023/10/09 20:20掲載
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Sly Stone / Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)
Sly Stone / Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)
スライ・ストーン(Sly Stone)が出会ったドラッグの売人の中には、スライ&ザ・ファミリー・ストーン(Sly and The Family Stone)の大ファンもいました。ある日、手持ちのお金がなかった彼は「今作っているアルバムのコピーをやるよ」とカセットテープを渡してドラッグを手に入れるが、テープの中には何も入っていなかった。売人は後日それを知るが怒らず、「テープを大切にするよ」と言ったという。スライの自伝『Thank You (Falettinme Be Mice Elf Agin)』(海外で10月17日発売)の抜粋が英ガーディアン紙で公開されています。

「俺たちは、ファミリー・ストーンの全曲を知っている売人に出会った。彼が細かい質問をする間、俺たちはドラッグを待たなければならなかった。あの曲はハーモニウムだったのか? あの曲はどんな機材を使ったのか? とかね。ある日の午後、ジョージ(クリントン)と俺はそこに行く途中で、ドラッグを買うお金がないことに気づいた。そこに着くと、売人が俺の音楽について話を始めるのを待たずに、自分から話を切り出した。

その後、彼にボーナスを渡した。“俺たちは手持ちがない、でも、その代わりとして今作っているアルバムのコピーをやるよ。聴くことは許可できないが、俺のために保管しておいてくれ”と俺は言った。俺は車に行ってテープを持って戻ってきた。ドラッグを渡すとき、彼の手は震えていたと思う。彼はとても興奮していた。

帰り道、ジョージは俺の頭の回転の速さを褒めてくれた。“彼にアルバムのコピーを渡すのはいい考えだ”。

“アルバム?”と俺は言った。

彼は、ついさっきやったことを忘れてしまったのか?みたいに、俺をじっと見ていた。

彼は言った。“いやいや、テープだよ。音楽”。

“音楽なんて入っていないよ。何もない。空っぽだよ”と俺は言った。

ジョージがどれくらい笑っていたかはわからないが、家に帰るまでずっと笑っていたような気がする。結局、ジョージは売人にそのことを言ったが、売人は怒りもしなかった。“大切にするよ”と売人は言った」