MC5のギタリスト、
ウェイン・クレイマー(Wayne Kramer)の象徴である、星条旗をモチーフにしたストラトキャスター。知られざる悲しい物語が明らかに。クレイマーは70年代、お金がないため、このギターを売ろうと地元の楽器店に持っていくと「星条旗の塗装のせいでギターが台無しだよ。塗り直してくれたら買ってやるよ」と言われたので、そうしたという。このオリジナル・ギターの行方は謎に包まれたままです。
クレーマーはインタビューの中でギターの起源についてこう説明しています。
「ピート・タウンゼントの大ファンなんだ。とにかく大好きだった。タウンゼントの服には、ポップ・アートのようなセンスを持っていることに気づいた。彼はイギリスの国旗のようなもので作られたジャケットを着ていて、俺はクールなアイデアだと思ったけど、俺はイギリス人じゃなくてアメリカ人だから、星条旗をモチーフにしたんだ。自分のギターにもそのモチーフを描いてもらうことにしたんだよ。俺の愛国心と1968年にアメリカが進もうとしていた方向に対する絶対的反抗を示すことにしたんだ」
この象徴的なギターは、最初は白いストラトキャスターでしたが、クレイマーはその上に赤いストライプを描き、ピックガードを青く塗って白い星をあしらいました。
後にフェンダーからレプリカのシグネチャーモデルも販売されましたが、その頃にはクレイマーはもうストラトを持っていませんでした。
「お金がなくて、依存症に苦しんでいた。他にも何本かギターを持っていたから、売ろうかと思ったんだけど......誰も買おうとしなかったんだ! 70年代のデトロイトの話だよ。誰も買おうとしなかった。それで地元の楽器店に持って行ったんだ。そしたら“ああ、ウェイン、星条旗の塗装のせいでギターが台無しだよ。塗り直してくれたら買ってやるよ”と言われたから、そうしたんだ。自慢できることじゃない。でも、そうなったんだ」
クレイマーはオリジナル・ギターについて、こう話しています。。
「ミシガン州のどこかに、50年間誰も見たことのないストラトキャスターがベッドの下のケースに入っているんじゃないかな。それがそれだろう。色は紫だ。キャンディ・オリエンタルパープルで、真ん中にハムバッカーが付いている」