ジム・オルーク(Jim O’Rourke)が“歌もの”アルバムをリリースしたのは2015年の『Simple Songs』が最後です。もう“歌もの”はリリースしないのでしょうか? 米SPINの新しいインタビューの中で話しています。
Q:『Simple Songs』のリリースから8年が経ちました。このスタイルで“歌もの”の音楽を作るのは、もう本当に終わりですか?
「ああ、そうだね。終わったよ(笑)。LPのジャケットの作り方でさえも、これで終わりという感じだった。必要なことはやったし、もうこれ以上やる必要はない」
Q:あなたのファンにとっては悲しいことかもしれませんが、YouTubeには2015年にあなたがその曲を演奏した素晴らしいライヴ映像があります。
「僕は本当に怖かった。あのライヴはとても怖かったんだ。あの曲は、それほど難しく聴こえないんだけど、演奏するのが簡単ではない。何度かリハーサルをやったけど、そのときは歌わなかったから、歌いながら演奏したのはあのときだけだと思う。“Last Year”という曲の最後に、僕が日本語でバンドに向かって“よし、やった、乗り切ったんだ!”と言っているのがビデオにちょっと映っているよ」
オルークの音楽は近年、アコースティック楽器やエレクトリック楽器ではなく、主にサウンド・デザイン・ソフトウェアに頼っていますが、このインタビューでオルークは「僕自身もうほとんど楽器に触ることはないし、2、3年前にほとんど売ってしまった」と言っています。
オルークはまた、「最近取り組んでいることは?」と尋ねられて、こう話しています。
「最近は(ドイツ出身の現代音楽・電子音楽の作曲家)ローラント・カインのアーカイブを修復する仕事が中心だね。もし、僕の“歌もの”を楽しみたいのであれば、(音楽と人生のパートナーである石橋)英子は今、新作を作っている。つい最近まで、英子は濱口竜介の新作映画のサウンドトラックを作っていた。彼はベネチア映画祭に出品しようとしていたので、僕たちは24時間体制で取り組んでいたんだ。僕は英子の専属エンジニアなんだよ(笑)。僕は、ほとんど勉強に時間を費やしている。音楽面では、時間がかかりそうなカインのアーカイブと、英子の新作だね。僕はまだ聴いていないけど、灰野敬二/オーレン・アンバーチ/僕のトリオのレコードがまた出るらしいよ。オーレンから聞いたんだ。そのライヴのことは覚えていないんだけど、あったらしい。もう何年も前のことだろう。僕たちは東京のクラブで演奏しただけで、そのクラブはもう閉店してしまったし、オーレンはもう5年もここに戻ってきていない。正直なところ、僕は、近況を聞かれるような人間ではないんだよ(笑)」