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フェンダー 2022年に約1億ドル相当の注文キャンセル 空前の需要から一転 ブランドCFO語る

2023/08/30 12:50掲載(Last Update:2023/08/30 13:00)
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Fender
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2021年は空前の需要だったギターですが、フェンダーのマット・ジャノポールCFOによると、同社は2022年、約1億ドル相当の注文キャンセルがあったという。

新型コロナウイルスのパンデミックが始まると、多くの音楽ファンがロックダウンの時期に新たな趣味としてギターを手に入れることを決めたため、2021年、ギターとアンプは空前の需要となりました。フェンダー社が2021年に行った調査によると、パンデミックが始まってからギターを新たに手にした米国人は1,600万人でした。世界では3,000万人がギターを手にしたという。

しかし、徐々に通常の生活に戻り、世界的なインフレと物価の上昇も相まって、売上は減少し始めているようです。

ジャノポールCFOは、ビジネス誌PYMNTSのインタビューの中で、こう話しています。

「パンデミックの間に1600万人、世界では3000万人がギターを手にしました。業界とフェンダーはその恩恵を大いに受けました。

2022年になると、人々は休暇を取ったり、可処分所得(※収入のうち、税金や社会保険料などを除いた所得で、自分で自由に使える手取り収入のこと)で他のことをするようになりました。ギターが優先されることは、もはやなくなったのです。私が下さなければならなかった苦渋の決断は、1億ドルに迫る規模の小売パートナーの注文キャンセルに対処することでした」

CFOによると、キャンセルされた注文のうち、失われた収入はギター約60万本とアンプ約20万台にのぼるという。会社の反応について、CFOはこう説明しています。

「待ったなしの事態でした。もし(サプライヤーが)苦境にあるものを持っていたら“持っていてください”と言い、いずれ必要になるだろうし、それを乗り越えていくだろうからと言いました。(既存の)製品を入れる倉庫を増設しました。それから営業経費のインフラをひとつひとつ見直し“どこをコスト削減するか、あるいはスピードを落とすか”と考えました」

フェンダーが大幅な供給過剰に陥っているという憶測は、以前からプレイヤーやディーラーの間でネット上で流れていました。

とはいえ、ジャノポールCFOの考え方は依然として前向きです。

「多くの場合、このような厳しい決断と忍耐からチャンスが生まれるのです。フェンダーは77歳です。不況、戦争、パンデミック、不景気など、ありとあらゆることを乗り越えてきました。それは常に基本に立ち返ることです。ブランドは何のためにあるのか?ギタリストやミュージシャンは何を求めているのか? そしてそれらを実現するのです」