坂本龍一 - Photo by zakkubalan (c)2022 Kab Inc.
坂本龍一が「パフォーマンス元年」と称する「1984年」に注目し、生涯にわたって「メディア」を革新し続けた芸術家としての足跡をあらためて紐解く。書籍『坂本龍一のメディア・パフォーマンス マス・メディアの中の芸術家像』がフィルムアート社から9月26日発売。多彩なプラットフォームで発表された作品群、その時々に遺された発言、そして、坂本龍一へのインタビューをもとに、「マス・メディアの中の芸術家像」を「メディア・パフォーマンス」というキー・タームから解き明かす。
■『坂本龍一のメディア・パフォーマンス マス・メディアの中の芸術家像』
松井茂、川崎弘二=編著 坂本龍一=インタビュー
発売日:2023年09月26日
四六版・上製 | 288頁(仮)
予価:2,500円+税 | ISBN 978-4-8459-2307-6
<内容>
芸術家、坂本龍一の1984年
マス・メディアを実験場に展開した
メディア・パフォーマンスの諸相
芸術の未来を拡張せよ
坂本龍一が「パフォーマンス元年」と称する「1984年」に注目し、生涯にわたって「メディア」を革新し続けた芸術家としての足跡をあらためて紐解く。
メディア戦略としての出版社「本本堂」、書籍というメディウムそのものによるパフォーマンス、世界最大級のテレビ「ジャンボトロン」を用いたメディア・イベント「TV WAR」……
多彩なプラットフォームで発表された作品群、その時々に遺された発言、そして、坂本龍一へのインタビューをもとに、「マス・メディアの中の芸術家像」を「メディア・パフォーマンス」というキー・タームから解き明かす。
<目次>
はじめに
第1部 マス・メディアの中の芸術家像──1984年を中心に
第1章 メディア・パフォーマンスというゲリラ戦
第2章 作曲家・坂本龍一と武満徹という芸術家像
第3章 「1984/85年のメディア・パフォーマンス」のための質問状
第2部 20世紀芸術を超えて──坂本龍一インタビュー
第4章 武満徹との50年を振り返る
第5章 1984/85年のメディア・パフォーマンス
第6章 あるがままのSとNをMに求めて
第3部 音楽のエラボレーション──21世紀の表現へ
第7章 日記という表現形式から
第8章 解体から沈黙へ
第9章 コモンズを求めて──配信者という芸術家像のはじまり
おわりに
<PROFILE>
松井茂
1975年東京生まれ。詩人、映像メディア学。情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授。付属図書館長。著書に『虚像培養芸術論 アートとテレビジョンの想像力』(フィルムアート社、2021年)。共著書に『テレビ・ドキュメンタリーを創った人々』(NHK出版、2016年)など。共編書に川崎弘二との『日本の電子音楽 続 インタビュー編』(engine books、2013年)、伊村靖子との『虚像の時代 東野芳明美術批評選』(河出書房新社、2013年)など。詩集に『Cycle』(engine books、2023年)など。キュレーションに「TOKYO MELODY 1984 坂本龍一図書資料展」(IAMAS付属図書館、2023年)、「磯崎新の謎」(大分市美術館、2019年)、「磯崎新 12×5=60」(ワタリウム美術館、2014年)など。http://purepoem.daa.jp/
川崎弘二
1970年大阪生まれ。2006年に「日本の電子音楽」、09年に同書の増補改訂版(以上 愛育社)、2011年に「黛敏郎の電子音楽」、2012年に「篠原眞の電子音楽」、2013年に「日本の電子音楽 続」(以上 engine books)を上梓。2014年にNHK Eテレ「スコラ 坂本龍一 音楽の学校 電子音楽編」に小沼純一、三輪眞弘と出演。2017年に芦屋市立美術博物館にて開催の「小杉武久 音楽のピクニック」展に企画協力、図録編集にて参加。2018年に「武満徹の電子音楽」(アルテスパブリッシング)、2020年に「日本の電子音楽 続々」、2021年に「ストーン・ミュージック」(以上 engine books)を上梓。http://kojiks.sakura.ne.jp/
坂本龍一(音楽家/アーティスト)
1952年、東京都生まれ。78年『千のナイフ』でソロデビュー。同年『YMO』を結成。散開後も多方面で活躍。『戦場のメリークリスマス』(83年)の音楽では英国アカデミー賞、映画『ラストエンペラー』の音楽ではアカデミーオリジナル音楽作曲賞、グラミー賞、他を受賞。環境や平和問題への言及も多く、森林保全団体「more trees」の創設、また「東北ユースオーケストラ」を立ち上げるなど音楽を通じた東北地方太平洋沖地震被災者支援活動も積極的におこなった。2013年山口情報芸術センター(YCAM)アーティスティックディレクター、2014年札幌国際芸術祭ゲストディレクターを務め、2018年piknic/ソウル、2021年M WOODS/北京、2023年M WOODS/成都で大規模インスタレーション展示を実施するなどアート界への越境でも知られた。2023年3月28日、71歳で死去。