彼が正式にデフ・レパードのステージに復帰を果たしたのは、1986年8月16日にキャッスル・ドニントンで開催された<Monsters Of Rock>でのことでした。厳密に言えば、デフ・レパードはそれに先駆けてアイルランドでウォームアップ・ミニ・ツアーを行っており、ジェフ・リッチをサポート・ドラマーとして帯同させ、ツイン・ドラム体制でライヴを行っていました。
1986年8月16日、僕たちはキャッスル・ドニントンで開催された<Monsters Of Rock>に出演することになった。バンドはすでにアイルランドで3回のウォームアップ・ギグを行い、ジェフ・リッチは純粋に安全策としてアコースティック・セットで手伝ってくれていた。ジェフは4回目のライヴのための飛行機に乗り遅れたので、彼が現れる前に僕がひとりで6曲ほど演奏した。次のライヴでは、ステージが2台のドラム・セットを置くほど広くはなかったので、僕ひとりで演奏した。その後、ジェフは“明日、家に帰ることになりそうだ”と言った。次のダブリンでのライヴも一人でやった。
<Monsters Of Rock>の当日は、とてもシュールな気分だった。緊張はしていたけれど、自分にはこれができるということはわかっていた。バックステージでは、自分が注目の的であることを不思議に感じていた。オジーからスコーピオンズまで、みんなが僕の成功を祈り、励ましてくれた。誰もが僕に賛同し、今起きていることが唯一無二なことだと知っていたので、僕は圧倒的なサポートを感じていた。ジョー・エリオットと僕はバックステージのトレーラーに立ち、2人でウイスキーをボトル1本分も飲み干した。開演時間が近づくにつれ、心が沸き立ってきた。素晴らしいものになるか、あるいは大失敗に終わるかのどちらかだと悟った。