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楽曲をそれを聴いていた人の脳の記録から再構成することに成功 再構築されたピンク・フロイドの楽曲公開

2023/08/16 15:03掲載(Last Update:2023/08/17 00:58)
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Pink Floyd / The Wall
Pink Floyd / The Wall
楽曲を、それを聴いていた人の脳の電気的活動を解読することで再構成することに成功。初めての例として、聴いていた人の脳の記録から再構築されたピンク・フロイド(Pink Floyd)の楽曲が公開されています。

カリフォルニア大学バークレー校の神経科学者たちは、協力者がピンク・フロイドの「Another Brick In The Wall (Part 1)」の3分間の断片を聴いている間、脳の領域の電気的活動を記録しました。それを人工知能ソフトウェアを使って、脳の記録から曲を再構築することが成功しています。これは、頭蓋内脳波記録から曲を再構成した初めての例です。

●聴いていた人の脳の記録から再構築されたピンク・フロイドの楽曲




●オリジナル


●今回の研究のイメージ画像


この研究は、カリフォルニア大学バークレー校の上級計算研究科学者であるルドヴィク・ベリエ博士が主導しました。この研究は、音楽の認知プロセスの理解に光を当てるもので、研究者たちは音楽のリズムを理解するのに不可欠な新しい脳領域を特定しました。

過去の研究では、音声のデコードと再構築にコンピューターモデリングが用いられてきましたが、それにはピッチ、メロディー、ハーモニー、リズムなどの音楽的属性などが欠けていました。研究チームは、このギャップに対処するため、クラシックロックを楽しんでいる29人のボランティアの脳に直接配置された2,668個の電極から脳活動を調べました。このうち、主に3つの特定の脳領域にある347個の電極が、音楽に明確に関連した活動を捉えていました。

研究チームがさらに分析した結果、右上側頭回(STG)すなわちリズムに同調する領域から電極を取り除くことが、楽曲の再構築に最も大きな影響を与えることが明らかになりました。

この研究の最先端技術は、脳卒中などの症状によってコミュニケーションに困難を抱える人々を支援する希望を与えてくれるものだという。現在のロボットサウンドによる再構成は、音声の自然な音楽性を欠いており、この研究はそれを変える可能性があるという。

「ブレイン・マシン・インターフェースのこの分野全体が進歩するにつれて、ALSやその他の神経障害や発達障害で音声出力が損なわれている人など、音楽性を必要とする人たちのために、将来的に脳インプラントに音楽性を追加する方法が提供されます。言語的な内容だけでなく、音声の韻律的な内容や感情も解読できるようになります」と、ベリエ博士と共同研究した神経学者のロバート・ナイト教授は言っています。