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「笑いは薬になる」 笑い声は左側から聞こう より強い影響を与えることが脳の研究で明らかに

2023/08/10 17:44掲載
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Man sharing a joke with woman (© olly - stock.adobe.com)
Man sharing a joke with woman (© olly - stock.adobe.com)
「笑いは薬になる」と言われていますが、新しい研究によると、笑い声が左側から聞こえてきた方が、より強い影響を与えるという。研究者たちは、音が聞こえる方向が私たちの感情的反応に影響を与えることを発見しています。脳の研究チームが発表しています。

背後から迫ってくる音は、ネガティブな感情を引き起こす可能性がありますが、これはおそらく潜在的な脅威として認識する進化的本能によるものでしょう。

今回、スイスの神経科学者たちによる新しい研究によって、笑い声のようなポジティブな人間の音は、左側から聞こえてきた方がより強い影響を与えることが分かりました。

スイス連邦工科大学ローザンヌ校の研究スタッフであるSandra da Costa博士は、こう説明しています。

「ポジティブな感情体験を引き起こす人間の発声は、聞き手の左側から発せられると、脳の聴覚野で強い活動を示します。この反応は、肯定的な発声が正面や右側から聞こえてきたときには起こりません。 しかし、無意味な母音や怯えた悲鳴のような、中立的あるいはネガティブな感情価を持つ音は、左側との関連性を示さないのです」

このことをさらに調べるため、研究者たちは13人のボランティアを対象に、さまざまな方向からの音を聞いている間の脳画像スキャンを行いました。その結果、一次聴覚野A1やRのような初期の音処理に関与する脳の領域は、肯定的な発声が左から聞こえたときに最大限の活性化することがわかりました。これとは対照的に、同じ音が前方や右側から聞こえてきたり、中立的またはネガティブな発声や非発声音を聞いたりすると、反応は減少しました。

研究者たちは、左側からの肯定的な発声に脳が偏ることの進化的意義については、まだ確信が持てないでいます。この研究の主著者であるStephanie Clarke教授は、この嗜好性がいつからヒトに見られるようになったのか、またこの嗜好性が手の嗜好性と関連しているのか、あるいは内臓の非対称な配置と関連しているのか、さらなる調査が必要であると指摘しています。