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スティーリー・ダンの未発表曲発掘 70年代初期に録音したビールのコマーシャル・ジングル 音源公開

2023/07/23 20:17掲載
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Steely Dan circa 1973. Photo: Michael Ochs Archives/Getty Images
Steely Dan circa 1973. Photo: Michael Ochs Archives/Getty Images
スティーリー・ダン(Steely Dan)の未発表曲を発掘。バンドが1970年代初期に米国のビール・ブランド、シュリッツ・ビールのために書いて録音したコマーシャル・ジングルで、最終的に使われず、お蔵入りとなった曲です。スティーリー・ダンのエンジニアを長年務めたロジャー・ニコルズ(2011年4月死去)の娘が、ニコルズのアーカイブの中から見つけました。このジングルの音源はYouTubeで聴けます。

ニコルズの娘は、同じくニコルズのアーカイブの中から、スティーリー・ダンのアルバム『Gaucho』に収録予定だった幻の曲「The Second Arrangement」の音源を見つけ、2023年6月にYouTubeほかで一般公開しました。詳しくはこちら

それから約1ヶ月後、スティーリー・ダンの失われた宝物がまたひとつ発掘されました。

ジェイク・マルーリーによるスティーリー・ダンのニュースレター『Expanding Dan』によると、スティーリー・ダンは1972年のデビューアルバム『Can't Buy a Thrill』と1973年の2ndアルバム『Countdown to Ecstasy』の間の8ヶ月の間にこのジングルを制作したという。

スティーリー・ダンの長年のプロデューサー、ゲイリー・カッツはこう回想しています。

「“Reelin' in the Years”のすぐ後に、ある人から電話がかかってきて、シュリッツのコマーシャルのために曲を書いてくれないかと頼まれたんだ。僕の記憶では、ドナルド(フェイゲン)は“いいよ、でも僕たちが書くよ”と言った。他の誰かが書いたCMはやりたくないという意味だった」

結成当初のメンバーであるジェフ・“スカンク”・バクスター(Jeff "Skunk" Baxter)は「バンドはまだキャリアがかなり浅かった。だから、どんなチャンスにも手を伸ばしていた」と付け加えています。

CMにしては奇妙な演出で、イントロダクションでバクスターがヘリウムガスを吸った高い声でスペイン語のナレーションを話し、その後、フェイゲンがそれを英語に訳してナレーションをしてから、本格的に曲に入ります。その後も、その高い声のスペイン語が曲中に散りばめられています。

バクスターによると、シュリッツはスペイン語の一部に懸念し、最終的にこの曲を使用しませんでした。フェイゲンが英語に訳したナレーションでは「grab(つかむ)」と訳した動詞は、スペイン語のナレーションでは「coger」を使っています。「coger」はスペイン語で「つかむ」の意味ですが、スペイン語のスラングとして「性交する」の意味でも使われることがあるため、シュリッツは使用しなかったとバクスターは説明しています。

バクスターはこの決定を間違いだと考えており、「もし私がシュリッツの人間だったら、ドナルド・フェイゲンに連絡して、100万ドル払ってもう1曲やってもらうだろう」と話しています。