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米国のアナログレコード・ブームは健在 2023年上半期の売上は前年同期比21.7%増 CDも増加で3.8%増

2023/07/14 17:25掲載
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vinyl  (c) PA IMAGES
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米国のアナログレコード・ブームは健在。音楽業界の新しいレポートによると、米国における2023年上半期のレコード・アルバム売上は、前年同期比で21.7%増加しています。米国では17年連続でアナログレコードの売上が伸びていますが、じつは昨年のこの時期、レコード・アルバムの売上はわずか1%増でした(不調の原因はサプライチェーンの問題とそれに続く原材料の不足だと言われていました)。そのため一部メディアは、レコードの成長が頭打ちになった可能性があると指摘していましたが、今回の数字により、ブームは継続されていることが明らかにされています。

米国のエンターテイメントデータを収集・解析する大手データ会社Luminateは、上半期の音楽業界の新しいレポート「Midyear Music Report」を発表しています。

業界を支えているのはストリーミングで、ストリーミングの伸びは、現時点では米国よりも米国以外の方が大きいという。オンデマンドのオーディオとビデオのストリーミングは、米国では今年これまでに15%増加しましたが、世界全体では30.8%増加しました。ストリーミングが飛躍的に増加した国際市場はアジアで、2022年上半期のオンデマンドのオーディオとビデオのストリーミングは107%増でした。ラテンアメリカは70%増、ヨーロッパは57%増でした。

米国におけるフィジカル・アルバムの売上は、CD、カセットテープ、レコードを含めて前年同期比で13.3%増加しました。CDは3.8%増で、カセットテープは、現時点ではニッチなコレクターズ市場(上半期の総売上枚数は21万2000枚)でありますが5.8%増です。有料デジタルダウンロードは減少傾向にありますが、アルバム全体の売上は7.9%増でした。

Luminateの調査は、さまざまなフォーマットにおいて、どのジャンルが最も好調で、どのジャンルが最も不調かを調べています。フィジカル・メディアが消費全体の10%以上を占めるジャンルは、レコードとCDの合計が24.2%を占めるジャズ、23.4%を占めるワールドミュージック、そして18.1%を占めるロックだけでした。フィジカル・メディアにとって最悪の市場はラテン音楽で、フィジカル・メディアは消費全体の0.5%に過ぎないという。

この調査では、米国のリスナーの40%が英語以外の言語の音楽を、リスニングの一部として聴いていることも明らかになっています。米国では、26%がスペイン語の音楽を聴いており、最も近い競合相手であるフランス語(8%)、日本語(8%)、韓国語(7%)の音楽リスナーを大きく引き離しています。イタリア語、ドイツ語、アラビア語がそれに続きます。

Luminateによると、今年に入ってから1日にリリースされた新曲は11万2,000曲で、前年同期の1日あたり9万3,400曲を上回っています。 その大半はインディーズからのリリースで、メジャーからのリリースは全体の3.%に過ぎないという。

■米国における2023年上半期のレコード・アルバム売上トップ10

1 Taylor Swift, “Midnights,” 251,000枚
2 Lana Del Rey, “Did You Know That There‘s a Tunnel Under Ocean Blvd,” 132,000枚
3 Taylor Swift, “Folklore,” 107,000枚
4 Tyler, the Creator, “Igor,” 104,000枚
5 Fleetwood Mac, “Rumours,” 103,000枚
6 Boygenius,”The Record,” 100,000枚
7 Melanie Martinez, “Portals,” 93,000枚
8 Michael Jackson, “Thriller,” 85,000枚
9 Pink Floyd, “The Dark Side of the Moon,” 85,000枚
10 Lana Del Rey, “Born to Die,” 84,000枚