『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の「ジョニー・B.グッド」演奏シーン　ギター提供者が（不正確で有名な）ギブソンES-345に決まるまでの舞台裏語る

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で主人公マーティが「ジョニー・B.グッド」を演奏する有名なシーン。マーティ役のマイケル・J・フォックスが弾いたギターのギブソンES-345は映画の舞台である1955年当時はまだ発売されていなかったというのは有名な話（開発は1958年、販売は59年から）。ギターを提供した人物が、このギターに決まるまでの舞台裏について話しています。

ロサンゼルスの伝説的なギターショップ「Norman's Rare Guitars」の名物店主であるノーム・ハリスは、ヴィンテージ・ギターのディーラーであり専門家として有名で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場したES-345はハリスが提供したものでした。

ハリスはジョー・ボナマッサとの新しいインタビューの中で、この映画の制作について語っており、当初はこのシーンにフェンダー・ストラトキャスターか、ビグスビー付きのグレッチ・ギターを使用するよう勧めたと語っています。

「（小道具を管理する）プロップマスターが僕たちのところに来たのは、僕たちがある時代のギターを持っていることを知っていたから。彼らはもともと“ワーミー・バー（トレモロ・アーム）付きの赤いものが欲しい。（舞台は）1955年だ”と言って来たんだ。それで僕は“ストラトキャスターか、ビグスビーのあるグレッチ・ギターがいいかもしれない”と言ったんだよ」

しかし、映画製作者たちは別の考えを持っていました。

「そのあと、アート・ディレクターは別のギター、ES-5を選んだ。そして撮影の日、責任者が“ちょっと待ってくれ！ビブラートのかかった赤いギターが欲しい”と言ったので、彼らは僕たちのところに戻り、ES-5を持ち帰ってきて、このES-345を持って行ったんだよ。

僕は“いいかい、1958年までこのギターはなかったんだ。警告しておくよ......”と言うと、彼らは“芸術的自由（※芸術的な活動において何物にも制約を受けないこと）だ！”と言っていたよ」

ノームはボナマッサにこう付け加えています。

「今でこそ、人々は時代を意識し、物事を正しく理解するようになったと思うけど、当時は“ギターなんだから誰にもわからないだろう”と考えていたんだよ」