チープ・トリックのバン・E・カルロス　「武道館公演の前に日本で大人気だったのは知っていた？」「最も過小評価されていると思うアルバム」など語る

チープ・トリック（Cheap Trick）のオリジナル・ドラマー、バン・E・カルロス（Bun E. Carlos）は、Goldmine Magazineの新しいインタビューの中で、「武道館公演の前にチープ・トリックが日本で大人気だったことを知っていたか？」「最も過小評価されていると思うチープ・トリックのアルバム」「熱心な音楽ファンである自身のルーツ」「やり直したいと思うこと」などを語っています。

Ｑ：バン・E・カルロスは、チープ・トリックの活動の全期間にわたって、ライヴ録音からプレス記事、レビューまで、あらゆるバンドの歴史的記録を収集してきました。チープ・トリック・アーカイブの発端は？

「レビューがあると必ずコピーを取っていた。もし何かが1つしかないものなら、それを手に入れるだろうね。録音も持っている......毎晩のようにライヴを録音していた。ツアーが始まると、DATテープやCDをバケツ一杯買ってきて、ライヴを聴いて、何が良くて、何が悪いかを確認していたんだ」

Ｑ：最も過小評価されていると思うチープ・トリックのアルバムは？

「『Next Position Please』かな。あれは間違いなく過小評価されている。トッド・ラングレンがプロデュースしたんだけど、彼は素晴らしい仕事をした。ミックスにこだわったこの作品は、今でも素晴らしいサウンドだよ。1983年頃の音ものもあるし、ちょっとした手間のかかるものもある。ロック・オペラをやろうとしているような、そんな風に到達している曲もいくつかあるけど、10曲中9曲は素晴らしいサウンドで、今でも楽しく聴いている。同じ頃にレコードには、まったく逆のものがいくつかある。そういうのはあまり聴きたくないね」

Ｑ：武道館公演の前にチープ・トリックが日本で大人気だったことは知っていましたか？

「知らなかったよ。1977年の秋、日本のマスコミがザ・ランナウェイズを撮影するためにデトロイトにやって来た。チープ・トリックとトム・ペティが彼女たちのオープニング・アクトを務めていたんだ。CBSインターナショナルにプレスの代理人をやっている女性がいたんだけど、彼女はそこにいて、僕たちをチェックするようにと言ってくれたんだ。彼ら（日本のマスコミ）は僕たちのイメージ、サウンド、そして曲を気に入ってくれた。

日本へ行く飛行機の中で、僕たちに会いに来てくれるファンがいるかもしれないと言われた。僕たちはゲートまでタクシーで移動しているときに、“なぜこんなに人がいるんだろう？”と思った。まさか自分のために来てくれているとは思わなかったよ。楽しかったよ。楽しかったし、面白かった」

Ｑ：あなたは熱心な音楽ファンですよね。

「僕は素晴らしいバンドを聴いて育ち、素晴らしいバンドを観に行った。昔はどんなバンドが来ても観に行っていたよ。（演奏した）曲を全部書き留めて、できることならローディとして忍び込んだりしていた。ザ・フーにローディとして忍び込んだこともあった。当時、僕は16歳か17歳。14歳のとき、ヤードバーズの楽屋に忍び込んで、彼らと話しをしたんだ。ジェフ・ベックやジム・マッカーティにも会ったよ。彼らはプロのミュージシャンである前に、10代の音楽マニアなんだ。結果的にプロのミュージシャンになったんだよ。

昔、ヤードバーズを観たことがある。ビートルズやデイヴ・クラーク・ファイヴも観に行った。ヘンドリックス、クリーム、ザ・フーも見た。ヘンドリックスは1年に4回、クリームは1年に3回見た。高校でバンドをやっていたので、お金を貯めてはコンサートのチケットに使っていた。楽しい時代だった。バスでシカゴに行くこともあった。

初めてヘンドリックスを見たときのことは覚えているよ。彼はシビック・オペラ・ハウスでコンサートをしていた。僕は2回目の公演のチケットを持っていたんだけど、間に合ったので1回目の公演のチケットも買った。とにかく度肝を抜かれた。2回目の公演が終わって、帰りのバスの中で“明日、学校でこのことを話しても誰も信じてくれないだろうな。どれだけクールだったか、どう説明すればいいんだろう？”と思っていた。バンドを見るには最高の時代だった。

ある人が1974年のチープ・トリックのテープをくれたんだけど、『Live at Leeds』の頃のザ・フーのようなサウンドで、ロビンがチープ・トリックの曲を歌っていた。ザ・フーは僕らに大きな影響を与えた。カヴァー曲をやるときは“Substitute”や“Shakin' All Over”をよくやっていた。ザ・ビートルズはザ・フーよりもずっと前から僕らに大きな影響を与えた。おそらく、コインで決めることになるだろうね」

Ｑ：やり直したいと思うことがあれば教えてください。

「僕は、そういう見方で作品を見たことがない。出来上がったものなのだから、“どうしたらもっと良くなるんだろう”とが思わないんだ。最近聴き返すと“これをやっていたら、あそこの部分は少し違っていたかもしれないな！”と思うことはあるかもしれないけど、そんなこともあまりしない。結果にはかなり満足しているんだ」