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イエスのスティーヴ・ハウが語る「ギタリストへの5つのアドバイス」

2023/05/04 19:08掲載
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Steve Howe
Steve Howe
イエス(Yes)スティーヴ・ハウ(Steve Howe)が語る「ギタリストへの5つのアドバイス」。ギター演奏のコツについて米Guitar Player誌で語っています。

1. 習うより弾け!

「スケールは練習のためのウォーミングアップにやるならいいんだけどね。僕もたまにスケールを弾くけど、僕がギターと接する時間の95%は即興演奏だと思う。作曲中の曲を弾いたり、作業したりすることもある。特に4、5日演奏していないときは、しばらく、ただかき鳴らしていることもある(僕にとっては珍しいことだけど)。エヴァリー・ブラザーズの曲を弾くこともある。

僕が言いたいのは、ギターは弾くものだということ。楽しいものであって、退屈でつまらないものではないはず。昔を振り返ってみると、あの頃も同じような考え方をしていた。ギターで即興演奏をして、ただ心を揺さぶっていたのが一番の喜びだった。

ウォーミングアップといえば、これはギターにも言えること。ギターを鳴らすには、少し弾かないと良い音が出ない。ギターを長時間弾かないままにすることについて科学的な調査が行われたそうだよ。その結果、10分、15分と弾き続けることで、ダイナミックレンジがぐっと小さくなることがわかったそうだ。なるほどと思ったよ」

2. 指板(フィンガーボード)の知識を得る

「ギターの指板は魅力的。同じ音を弾くのにいろいろなポジションがある。何年経っても、違う発想で弾いてみて“ああ、これは考えもしなかった”と思うことがある。指板は、君の音楽が生まれる場所。もちろん、ピッキングの手も使わなければならないけど、指板上のフレットの手、そこにすべての可能性がある。

指板の知識を得るには、いろいろな方法がある。手始めにマニュアルを手にするのもいい。タクシーの運転手がロンドンの道を覚えるようなものだ。彼らには地図が必要。少なくともかつてはそうだった。

どんな方法で指板に親しもうとも、最終的には、何を演奏するにせよ、自分の指がどこにあるべきかをわかるような、挑戦ではない感覚を得たいものだ。先ほども言ったように、たくさんの可能性がある。ある日、ある曲を弾いたら、次の日には“もっといい指使いがあるはずだ”と思うかもしれない。そういうことはよくあることなんだよ」

3. 理想的な演奏姿勢を見つける

「幼いころは、自分の姿勢や、ギターを弾くことで背中や腰を痛めるなんて考えたこともなかった。ベッドやソファ...どこにいても演奏していた。もちろん、ステージに立って演奏する年も長かった。そうすると、ある問題が出てくる。ステージ上の僕の初期の写真を見ると、ビル・ワイマンみたいなポジションで演奏していたので信じられなかった。ギターを高い位置に置いていた。ツアーが終わると、よくカイロプラクティックに通っていた。治療でようやく治ったけど、演奏のポジションを再調整して考え直さなければならないこともわかった。今はギターを高い位置で弾くことはない。ただ置いておくだけ。

今は特にソロギターを演奏するときは座っているほうが好き。ギターは、常に自分のものと呼べる位置にある必要があることを発見した。例えば、“Clap”を弾くときのように、アコースティックで弾くときは、右足に足載せ台を使う。不思議なもので、多くの人は左足に足載せ台を使っている。でも、僕は右足の下に足載せ台を置くのが一番いいということに気がついた。演奏の仕方に違いがあっても、それを回避できる。

自分の体に負担をかけずに演奏できる方法を考える必要がある。エレキとアコースティックでは、楽器の重さや体へのフィット感、演奏方法が大きく異なるので、調整する必要があるかもしれない」

4. ガイドの耳を信じる

「最初の10年間は、楽器を学ぶことは体を動かすこと。音の出し方、指の動かし方を学ぶんだ。それはそれで大切なことだけど、そのあとはどうするのか? 答えは、自分のガイドとなる耳に従って行動する。それが君の音楽の方向性を導いてくれる。音の聴こえ方、そしてそれが何を伝えているのかに耳を傾ける必要があるんだ。

僕がこのことに気づいたのは、(ジャズ・ギタリストの)ケニー・バレルを聴いたときだったと思う。彼は音に対して特別な感覚を持っているようだったけど、それはテクニックだけではなかった。彼の音の聴き方、つまり、彼のガイドのような耳だったのだと思う。彼はいつも同じ音を出していて、いつも素晴らしい音を出していた。彼は(Gibson)Super 400を、フロントピックアップで使っていた。それは素晴らしいギターで、素晴らしいピックアップなんだけど、でも、彼はいつも自分の音を最後まで見ていたと思う。彼は自分のサウンドが行きたいところについて行ったんだ。

君がその役を演じるんだ。それで終わりではない。ミックスにこだわることで“左のギターがいい。ちょっとリバーブかけてくれない?いやいや、頼むから下げてくれ”みたいなことができるようになる。自分のギターが世の中に出ていくのに自分も参加するんだ。自分が聴いたとおりの音でなければならない。僕は、ギターを弾くこと、つまり肉体的な部分について、そうするよう心がけている。あとは、耳と、本当に出したい音に従うだけなんだ」

5. すべてのギタリストとスタイルを研究する

「若い頃は、どんなことにも手を抜かなかった。僕は単なるギターファンではなく、ギターの研究家だった。雑誌を読み漁り、レコードを買い漁った。ラジオ番組も聴いた。とにかく何でも知っておかないと気が済まなかった。

冒険心が強かったからだろうね。チェット・アトキンスを聴いて、自分はどんなギターでも弾けるんだと思うようになった。16歳のときにウェス・モンゴメリーを見た。ジミー・ブライアント、スピーディー・ウェストなど、僕は聴いた人全員を真似しようとした。ジャズの分野では、チャーリー・クリスチャン、タル・ファーロウ、レニー・バレルなど、たくさんのギタリストがいた。このリストはしばらく続くだろうね。そして、ジョン・マクラフリンが登場し、他にもたくさんのギタリストが登場したので、本当にたくさん掘ることができた。学ぶべきことがたくさんあった。それにね、リック(フレーズ)を盗んでもいいんだ。一つのスタイルだけを吸収するのではなく、他のジャンルを聴いて、それを自分の中に落とし込む。今日もさっきまで、(モーリス)ラヴェルを聴いていた。僕はいつもクラシック音楽を聴いている。自分にチャンスを与えれば、たくさんの音楽の旅に出ることができるんだ」