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ヒット曲におけるリードヴォーカルの音量は減少傾向 ギターが「新しいリードヴォーカル」なのかもしれない 最新研究結果

2023/04/28 18:26掲載
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James Hetfield - Metallica
James Hetfield - Metallica
リード・ヴォーカルはポピュラー音楽の中心的な要素であり、伝統的にリード・ヴォーカルを他の楽器よりも高い音量でミキシングしているとされてきましたが、新しい研究によると、チャート上位の曲におけるリード・ヴォーカルの音量が、過去75年間で徐々に減少していることが明らかになりました。研究者は「ギター・リフはロックやメタルの特徴であり、ギターはリード・ヴォーカルに匹敵するポジションを取っている」と述べており、ギターは「新しいリード・ヴォーカル」なのかもしれません。

ドイツのオルデンブルク大学の研究者たちによる研究チームは、人気のある西洋のポピュラー音楽の代表的な楽曲を分析するため、1946年から2020年にかけてBillboard Hot 100の上位4曲までにランクインした楽曲の中から300曲を選びました。

ほとんどの音源は、楽器ごとにトラックが分かれていないため、研究チームはソフトウェアを使用して、各曲をヴォーカル、ベース、パーカッション、その他の残りの音のトラックに分けました。またリード・ヴォーカルだけの音量を測定するため、バッキング・ヴォーカルを削除しました。こうして、研究チームは各曲からリード・ヴォーカルを他の音から分離し、リード・ヴォーカルと伴奏の比率 (LAR) を算出しました。

この研究では、リード・ヴォーカルのLARの低下は音楽技術の変化によるものでもあると述べていますが、研究者たちは楽曲の「スタイルの進化」も関連している可能性を示唆しています。

音楽のスタイルが変わるとリード・ヴォーカルの音量が小さくなるかどうかを調べるため、研究者らは、カントリー、ラップ、ポップ、ロック、メタルの各ジャンルでグラミー賞にノミネートされた楽曲を追跡調査しました。

この追跡調査により、カントリーミュージックのLARが最も高く、次にラップとポップが続くことがわかりました。ロックはLARがほぼゼロ、メタルはマイナスで、またソロ・シンガーのLARはバンドよりもはるかに高い値を示しました。

オルデンブルク大学のKai Siedenburgはメディアリリースで「もう一つの可能性として、ポピュラー音楽におけるスタイルの進化が考えられます。ギター・リフはロックやメタルの特徴であり、ギターはリード・ヴォーカルに匹敵するポジションを取っています」と締めくくっています。

この研究はJASA Express Letters誌に掲載されています。


「ジャンル別 リード・ヴォーカルと伴奏の比率 (LAR)」。紫の丸はソロアーティスト、緑の四角はバンドを表現しています (c) Kai Siedenburg