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書籍『音楽と心の科学史:音楽学と心理学が交差するとき』発売

2023/04/17 20:53掲載
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音楽と心の科学史:音楽学と心理学が交差するとき
音楽と心の科学史:音楽学と心理学が交差するとき
音楽は「心の言語」である。書籍『音楽と心の科学史:音楽学と心理学が交差するとき』は春秋社から4月26日発売。音楽理論と音楽美学は心理学の知見をどのように参照してきたか。学際的な見地から諸事例をピックアップする「音楽学の科学史」
■『音楽と心の科学史:音楽学と心理学が交差するとき』(春秋社音楽学叢書)
著者 西田 紘子 編著、小寺 未知留 編著
ISBN 9784393930458
判型・ページ数:4-6・264ページ
定価:3,080円(本体2,800円+税)

<内容>
〈音〉とは何か、〈音楽〉とは何か――。物理学や生理学、心理学が飛躍的に発展した19世紀後半以降、音楽のしくみ(理論・美学)を音そのものや音響現象に還元して、つまり音の物理的な振動に対する感覚や心の反応として捉えるようになった。なかでも心理学は、「心の言語」と呼ばれる音楽の本質を探究する際の重要な参照先であった。その後、問題や関心、学問領域の呼称などは少なからず変化してきたが、心理学が現代に至るまで音楽理論・音楽美学に多大な刺激を与えていることは疑いようがない。
本書では、音楽学が他の研究分野・領域との交流・軋轢のなかで新たな知を形成してきた歴史に着目し、とりわけ心理学の知見をどのように参照し、取り入れてきたかをさぐる。

<目次>
本書に寄せて 科学史と音楽研究史のあいだ(野家啓一)

総説 科学史としてみる音楽理論・音楽美学(西田紘子・小寺未知留)
 コラム① 社会の中の音楽と心理学(佐藤典子)
第一章 心理学を介した音楽美学=音楽理論の領域化――音心理学に対抗するリーマンの音想像論(西田紘子)
第二章 心理学によって音楽の起源を説明する試み――ヴァラシェクの「タクト」概念の変遷から(小川将也)
第三章 「日本音楽」の分析から「民族の特性」の説明へ――田辺尚雄の日本音楽論と心理学(鈴木聖子)
 コラム② 両大戦間の「音楽」心理学(木村直弘)
第四章 心理学者と音楽理論家のコラボレーション――マイヤーとロスナーによる学際的な取り組み(小寺未知留)
 コラム③ 音楽の心理学と情報科学(森本智志)
第五章 聴くことと知ることはどのように関係しているのか――分析美学からみた音楽と心(田邉健太郎)
 コラム④ 音楽美学は自然科学を無視できるか(源河亨)

あとがき
引用文献
事項索引
主要人名索引

<著者について>
九州大学大学院芸術工学研究院准教授。2009年、東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了(音楽学専攻)。博士(音楽学)。著書『ハインリヒ・シェンカーの音楽思想――楽曲分析を超えて』(九州大学出版会)、編著『ハーモニー探究の歴史――思想としての和声理論』、共訳書シェンカー『ベートーヴェンのピアノ・ソナタ批判校訂版――分析・演奏・文献』シリーズ(以上、音楽之友社)、ボンズ『ベートーヴェン症候群――音楽を自伝として聴く』(春秋社)など。オーケストラ団体の研究や演奏研究、批評活動も行っている。

立命館大学文学部准教授。2018年、東京藝術大学大学院音楽研究科博士後期課程修了(音楽学専攻)。博士(音楽学)。論文「マックス・ニューハウスは何を『音楽』と呼んだのか」(『美学』第72巻1号)、「レナード・マイヤーとニュー・ミュージコロジーの関係についての一考察」(『音楽学』第63巻2号)、共著『自由に生きるための知性とはなにか――リベラルアーツで未来をひらく』(晶文社)など。戦後アメリカにおける音楽研究史およびサウンド・アートの歴史について研究している。