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2023年の米国 CDの売り上げが前年よりわずかに上回る 米誌は「CDが“グッズ”として人気を集めている」と報告

2023/04/05 15:45掲載
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CD
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米国ではこの20年、CDの売上は減少し続けていましたが、米国のエンターテイメントデータを収集・解析するLuminate(旧:Nielsen Music)によると、2023年の最初の10週間、CDの売り上げが前年の同時期をわずかに上回りました(2022年の680万枚から690万枚。2.5%増)。なぜでしょうか? 米ビルボード誌は、CDが“グッズ”として人気を集めていると報告しています。

アナログレコードは、カラーヴァイナルなどの限定版リリースによって、クールさの要素を高めることでレコード・リバイバルを盛り上げましたが、最近ではCDでも、こういった手法を取り入れており、限定作品や手の込んだCDボックスセットなどが発売されています。

米ポスト・ハードコア・バンド、ピアス・ザ・ヴェイルのポップアップストアが先日オープンし、何百人ものメタルヘッズが押し寄せ、Tシャツやパーカーなどのグッズを買い求めました。その中で、彼らはCDも買いあさり、売り上げを伸ばすことに貢献します。バンドのマネージャー、ミシェル・アブレイムは「CDは音楽を聴くための手段ではなく、グッズであるかのような感じだった」と振り返っています。

50のインディペンデント・レーベルを統括するMNRK Music Groupのオペレーション&イノベーション担当上級副社長、ビル・ウィルソンは、特殊なCD購入層がこのフォーマットを存続させていると語っています。「メタルなどの音楽ファンには、CDを手に取ったり、抱きしめたりするのが好きな層やサブジャンルがまだ存在しています。彼らはレコードのコレクターではありません」。

CDは一般的にレコードよりもはるかに安価であり、特にクラシック・ロックのカタログ盤はその傾向が強いです。ボックス・セットや、20ドル以上もするのアナログレコードのアルバムを買う余裕のない人にとっては「CDの方がはるかに予算に優しい商品です」と、ニュージャージー州に拠点を置くレコード/CDメーカーDisc MakersのCEOトニー・ヴァン・ヴィーンは話しています。

ヴァン・ヴィーンによると、全米レコード協会(RIAA)の最新販売データを分析した結果、2022年のアナログレコードのアルバムの価格は13.5%上昇し29.65ドル(約3900円)、CDの価格は15.3%上昇し14.45ドル(約1900円)であることがわかりました。

CDは、レコードよりも持ち運びやすく、サプライチェーンの問題による製造遅延の影響を受けにくい点が好まれています。

パンデミックによるレコードの製造遅延は緩和されつつありますが、ツアー中のアーティストは、商品テーブルにCDを並べるようになりました。アーティスト、レーベル、レコード工場と連携するコンサルティング会社、プロダクション・デパートメントのオーナー、リック・シャーマンは「昨日、ある人と話をしたんだけど、彼らはこれからツアーに出るところだった。計画通りのスケジュールでレコードを入手するのは不可能なので、彼らはすぐにCDをデフォルトにしたんだ」と話しています。

レコードの利益率はCDより若干高く、15ドルのCDならおよそ13.50ドル、30ドルのレコードなら15ドルの利益が得られますが、しかし、シャーマンは「レコードは製造コストが高い」と付け加えています。ヴァン・ヴィーンによると、CD100枚の製造コストが150ドルであるのに対し、レコード・アルバム100枚は1,500ドルだという。

「CDは非常に価値があり、求められているのです」とNewbury ComicsのブランドエンゲージメントディレクターCarl Melloは言っています。