Thomas Bangalter - Daft Punk
ダフト・パンク(Daft Punk)の
トーマ・バンガルテル(Thomas Bangalter)は英BBCの新しいインタビューの中で、「ダフト・パンクは、ロボットというキャラクターによって現実とフィクションの境界線を曖昧にするプロジェクトだった」と振り返り、人工知能 (AI) やヘルメットを捨てたことについても話しています。
ダフト・パンクが2013年にリリースした最後のスタジオ・アルバム『Random Access Memories』。発売10周年を記念した10thアニヴァーサリー・エディションの中には、バンガルテルと
トッド・エドワーズ(Todd Edwards)がスタジオでコラボレーション曲「Fragments of Time」を書いている様子を収録したドキュメンタリートラック「The Writing of Fragments of Time」も収録されています。これは、当時のエンジニアがこのセッションの様子を2人には内緒で録音していたものでした。
こうした舞台裏を明らかにするというのは、ダフト・パンクが解散した後でなければできなかったことだと彼は言っています。
「ダフト・パンクは、ロボットというキャラクターによって現実とフィクションの境界線を曖昧にするプロジェクトだった。僕と(もうひとりのメンバーの)ギ=マニュエル(ド・オメン=クリスト)にとって、物語が起きている最中に、その物語を台無しにしないようにすることは、とても重要なポイントだった。物語が終わった今、創作プロセスの一部を明らかにすることは、非常に人間的で、いかなる種類のアルゴリズムとは無縁のものであることを興味深いと感じたんだ」
バンガルテルは同じことが、「人類とテクノロジーの境界線は絶対的なものであるべき」だと言っています。
「機械から始まり、機械から離れるという探求だった。僕は道具としてのテクノロジーを愛しているけど、機械と僕たちとの関係の本質に、どこか恐怖を感じている。
人工知能の台頭に対する僕の懸念は、音楽制作への利用を超えたところにある。
『2001年宇宙の旅』は大好きな映画で、スタンリー・キューブリックがこの映画をどのように表現したかは、今日でも非常に重要な意味を持っている。彼はテクノロジーと人間の陳腐化について、まさに僕たちが自問自答しなければならないことを問いかけているんだ」
それが彼の立場だと彼は強調しています。ダフト・パンクの美学が、デジタル・カルチャーを疑うことなく受け入れていると誤解されることがあったからです。
「僕は、このロボットのキャラクターを、20年間続いた(ユーゴスラビア出身のパフォーマンスアーティスト)マリーナ・アブラモヴィッチのパフォーマンス・アート・インスタレーションのようなものだと考えているんだ。
僕たちは、機械には感じられないが、人間には感じられる極めて感動的なものを、これらの機械を使って表現しようとしたんだ。僕たちは常に人間の側にいて、テクノロジーの側にはいなかった」
だからこそ、2021年はこのプロジェクトの終わらせるのに適切なタイミングだったという。
「このキャラクターが好きなのと同じくらい、2023年の今の世界で一番なりたくないのはロボットだよ」