HOME > ニュース >

ザ・キンクスのミック・エイヴォリー 「You Really Got Me」について語る デイヴィス兄弟との現在の関係についても

2023/03/30 16:18掲載
メールで知らせる   このエントリーをはてなブックマークに追加  
The Kinks
The Kinks
ザ・キンクス(The Kinks)を支えたドラマーのミック・エイヴォリー(Mick Avory)はAllMusicのインタビューの中で「You Really Got Me」について語る。史上初のパンク・ロック・ソングだったのか? ヴァン・ヘイレン(Van Halen)のカヴァーについて、ジミー・ペイジ(Jimmy Page)の貢献について。またデイヴィス兄弟との現在の関係についても話しています。

Q:「You Really Got Me」は史上初のパンク・ロック・ソングだったのでしょうか?

「そんな風に考えたことはなかったけど、そうかもしれないね...確かにあのギターサウンドから始まったんだと思う。あれはインパクトがあった。当時の他のバンド(サーチャーズなど)は皆優れたミュージシャンで、ギターで素敵なメロディーを奏で、小さなソロを弾いていた。でも、あれは挑戦的なリフだった。他になかった。だから、あのリフにみんながしがみついて、それが発展して、ある種のパンクになったんだ。

それは限界を超えて、最終的には楽器を弾ける必要もないほどになった。バンドの中では、ドラマーが最高のミュージシャンだったと思う。でも、バンドは若者にとっては刺激的な時間だった。互いに唾を吐き合ったり、行儀が悪かったり、できる限りひどいことをしていた。デイヴは、たぶん、偶然、うまくいったんだと思う。レイがあの曲を作ったから、彼はそれを置いておく場所があった。

パンクと結びつけたのがこれだった。最初にこの曲を知ったときは信じられなかったよ。ステージで演奏して、自分たちがやっていることとは違うと思った。でも、もっと演奏して、レコーディングしていくうちに、より納得できるようになったんだ。そう、あれは間違いなくトレンドの始まりだったんだ」

Q:ヴァン・ヘイレンのカヴァーはどう思いましたか?

「キンクスがやったことを誇張しているだけだったね。彼(エディ・ヴァン・ヘイレン)は本当のメロディックなソロを弾くことはなかったから。たくさんの音を出して、技術的にはとても優れていたし、サウンドも何もかもが本当に良かった。ようするに“デイヴよりも多くの音を弾いて、それを超えてやろう”という誇張があっただけなんだ。でも、そうやって物事は進んでいくものだからね。少なくとも彼らはそれをただコピーするのではなく、自分たちなりに工夫したんだと思う。この前、“JUMP”を聴いたよ、あの曲は好きなんだ。当時すべてシンセサイザーだったけど、興味深いものだった。短いギターソロはあるけれど、メインは全部シンセサイザー。いい曲だよ」

Q:ジミー・ペイジなど、初期のキンクスには何人かの名前が挙げられています。ジミー・ペイジはスタジオでどのような役割を果たしたのでしょうか?

「僕が覚えている限りでは、ほとんど何もしていないよ。彼がスタジオに入ってきたのは、おそらく“You Really Got Me”の時だったと思う。彼はデイヴがやったことを鼻で笑っていたようだよ。彼の方が洗練されたプレイヤーだったからね。そして、彼は残りの年月を“この曲のソロは俺が弾いたんだ”と言い続けたんだ。他のみんなが質問してくるから、彼はそう言ったに違いない。でも、あの演奏は間違いなくデイヴ・デイヴィスだった。僕なら、その場に居なくてもジミー・ペイジではなくデイヴだとわかる。あんな風に演奏するなんてペイジの中にはなかった。あのソロは、完全にデイヴの頭の中にあるものだった。その姿勢も含めて、ぴったりだった。セッション・マンからそういうのを聴いたことがない。彼らはただやってきて、自分が感じたことを演奏するだけで、必ずしもそれが正しいとは限らない。だから、あまりないんだ」

Q:レイとデイヴとの関係は現在どうなっていますか、また一緒に演奏することは考えていますか?

「僕が1984年に脱退した後も、僕らはスタジオを所有していたから、そこで働いていた。他のバンドと一緒にライヴをやったりしていた。そのあと、結局、デイヴと一緒に仕事をすることになったんだけど、うまくいっていないことは明らかだったし、それが自分たちの活動にも影響していた。僕はレイに“デイヴの僕に対する態度は、もうついていけない。幸せじゃないから、もう行くよ。幸運を祈る”と言ったんだけど、レイは僕が2人の間に入って一緒に仕事をするのを助けて欲しいので、出て行ってほしくなかった。結局は邪魔だったということだね。そんな感じだったね、僕は仲介役というより、邪魔者だった。

デイヴはツアーでどんどん離れた存在になっていって、ほとんど会うことがなかった。ステージ上でしか見かけないし、態度も変だった。彼は僕にとってあまり良い存在ではなかった。レイとは仲良くなれたけど、それほど個人的な関係ではなかった。それでおしまい。彼らと一緒にいた頃は最高の年月だった。

今、一緒にツアーに出ることがあるかと聞かれたけど、ここ20年ぐらいは、そういうことをすべて経験してきたからね。今、一緒にツアーに出ることは不可能だと思うよ。健康面でもね。いつもデイヴはある方向でやりたがり、レイが別の方向でやりたがっていた。それは彼らにとってごく普通の考え方だったけど、うまくいくとは思えなかった。僕はいつもレイに頼っていた。彼は全体をよく考えていた。彼は“どうするのがベストなのか”ということをよく考えていた。だから、僕はいつもレイの話を聞いていた。レイはこれを“エボリューション・ツアー”のようなものだと考えていた。バンドに入ってきたさまざまな人たちが、どの曲でレコーディングし、どの曲が彼らに影響を与えたか、ということをやってみようと考えたんだ。その方が面白いと思ったからね。でも、デイヴはただバンドが欲しかっただけだと思う。僕が脱退したときのように、彼とレイがいるだけのバンドに改革すればいいんだよ」