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ボブ・ディラン『The Freewheelin' Bob Dylan』のジャケットカヴァーに写るバンの知られざるエピソード

2023/03/25 20:31掲載
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Bob Dylan / The Freewheelin' Bob Dylan
Bob Dylan / The Freewheelin' Bob Dylan
ボブ・ディラン(Bob Dylan)の名盤『The Freewheelin' Bob Dylan』のジャケット・カヴァーの左側に写っているフォルクスワーゲンのバン(通称スプリッティ)。このバンの知られざるエピソードを英ガーディアン紙が紹介しています。

撮影された場所はニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジ、ジョーンズ・ストリートが西4番ストリートに突き当たるあたりで、ジャケット・カヴァーに一緒に写っているのは、当時のガールフレンドだったスーズ・ロトロです。

このフォルクスワーゲン・バンの持ち主はジャック・ウバルディで、ジョーンズ・ストリート5番地にある彼の店、肉屋「フローレンス・プライム・ミート・マーケット」のために使っていました。ウバルディはイタリアで生まれ、7歳の時に家族でニューヨークへやってきました。1936年にオープンした彼の肉屋はビレッジの定番で、彼は1975年まで経営し、その後、従業員に売却しています。この肉屋は現在も営業しています。

ジャックは2001年に亡くなっています。ジャックの息子で現在75歳のリッチ・ウバルディは、ジャックはこのジャケット・カヴァーのことを知らなかったと思うと話しています。現在バージニア州に住むリッチは「父はクラシック音楽が好きだった。父は1963年当時、ディランのことを知らなかったと思う。父はクラシック音楽局のWQXRをつけて、店内で一日中流していた」と話しています。

息子のリッチによると、ジャックは1962年に『The Freewheelin' Bob Dylan』のジャケットを飾ったフォルクスワーゲン・バンを中古で手に入れましたが、1963年後半にその年に製造されたモデルと交換しました。「父はメカニックではなく、肉屋だったから、そんなに長く車を維持することはなかったん」とリッチは言っています。

ニューヨーク州自動車局が昔の記録を残していないため、残念ながら、偶然有名になったこのフォルクスワーゲン・バンは歴史の中に消えてしまいました。