PINK FLOYD'S THE DARK SIDE OF THE MOON 50TH ANNIVERSARY LOGO
2023年3月1日、
ピンク・フロイド(Pink Floyd) のアルバム『The Dark Side of the Moon(邦題:狂気)』が発売から50周年を迎えました。50周年記念した公式ドキュメンタリー・シリーズのエピソード2「ツアー」編が公開されています。ロジャー・ウォーターズやヒプノシスのオーブリー・パウエルなどの関係者が『Dark Side of the Moon Tour』について語っています
Touring The Dark Side Of The Moon “The start of Electric Theatre” – Roger Waters 『狂気』ツアー 「エレクトリック・シアターの始まりだった」――ロジャー・ウォーターズ オーブリー・パウエル(ヒプノシス) 『狂気』ツアーはロジャー・ウォーターズが“エレクトリック・シアター”と呼んだものの始まりだった。ステージの背後に大きな円型のスクリーンを設置したり、演奏している彼らの周りでクレーンで照明を動かしたり、ドライアイスの煙をステージの前方からオーディエンスに向かって流したり。特にサラウンド・サウンド・システムにはエフェクトが多用された。これらにより1973年のピンク・フロイドは他のバンドと一線を画し、スペシャルな存在になった。 イアン・イームズ(アニメーター) ロンドンに出てきた僕はアニメ・スタジオでの職を得た。そこの人に、ピンク・フロイドに(作品の)フィルムを見せるべきだと勧められた。マネージャーから連絡が来て、『狂気』の「タイム」部分を作ってほしいと言われたんだ。 イアン・イームズ それまで彼らは一切アニメを使ったことがなかったけど、構造化されていて空間的で、自分たちの音楽と相性がいい性質がある可能性を見いだしたのだと思う。 ロジャー・ウォーターズ 「タイム」は時代を超えて愛された。ダリっぽいところがあるよね。時計もダリが描いたみたいに、棒やテーブルの端にぶら下がっていそうな形をしているし。 イアン・イームズ 円形のスクリーンを使い始めたのもこの頃だった。 ロジャー・ウォーターズ 円形のスクリーンはプロセニアム・アーチ(客席から見てステージを額縁のように仕切る構造物)の有無とか、会場の構造に左右されないからね。初めて使ったのが『狂気』のツアーだったんじゃないかな。 オーブリー・パウエル 1974年の全英ツアーには自分(オーブリー・パウエル)とストーム・トーガソン、ピーター・クリストファーソン、ジル・フルマノフスキーの4人のカメラマンが同行して、バックステージや会場なども撮った。大半はジルが撮って、新しい写真集をキュレーションしたんだ。 ジル・フルマノフスキー この手のドキュメンタリー写真のいいところは、被写体が撮られるのに慣れて、カメラマンを意識しなくなることね。それがカメラマンの望みだから。女性は私1人だったけどそんなに孤独じゃなかったわ。元々男性との仕事がメインだったしね。出入口を開けてくれる権限があるのはバンドじゃなくてクルーだから、彼らと仲良くなるのも大事。バンドというのは自分たちだけの世界に入っているものよ。 ジル・フルマノフスキー フロイドはあの頃から色々な技術的な限界を超えていたわ。本当に没入的な体験だった。(コンサートの演出で)飛行機が向かってくる中でリックが身をかがめている写真があるのよ。飛行機がぶつかって倒れるんじゃないかという感覚があって、サウンドが全体に反響するの。 ジル・フルマノフスキー 若い女の子2人が指でピラミッドの形を作っている写真が気に入っているわ。ピンク・フロイドの客層はとても敬虔で、クラシックの観客みたいにじっと座って上品に聴いているの。この子たちは裸足でとても若かった。ひとりが目を閉じて別世界に行っていて、もう1人も同じくらい魅了されていたわ。曲がいかに美しかったかということよね。この写真は特にお気に入りよ。 ジル・フルマノフスキー バンドにとってもとてもいい時期で、誰もがすべてを楽しんでいる絶頂期だったわ。スポーツもスカッシュやテニス、夏にはクリケットなんかも楽しんでいた。ストームが電話で「ロジャーが明日の朝8時からゴルフに行くらしい」とか「320号室でバックギャモン(ボードゲーム)をやっている」なんて教えてくれるから、それを撮りに行っていたの。これはショウの後の写真ね。ストーム、デヴィッド、ロジャーがいて、彼らの仲間関係を思い出すわ。本当にハッピーなツアーだったのよ。
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