ポール・サイモン(Paul Simon)のヒット曲「恋人と別れる50の方法(原題:50 Ways to Leave Your Lover)」。印象的なドラム・イントロを担当した
スティーヴ・ガッド(Steve Gadd)が、このドラム・イントロの誕生について話しています。
リック・ベアトによるインタビューの中で、こう話しています。
ガッドの説明によると、「恋人と別れる50の方法」はもともと、コーラス(サビ)とヴァース(歌のサビに入るまでの導入部分)の両パートでストレートなビートをフィーチャーしており、ドラム・イントロはテイク間のちょっとした工夫によって生まれました。
「最初はバックビートで曲全体を演奏していた。サビがうまくいって、とてもいい感じだったけど、フィル(ラモーン、プロデューサー)とポールは何かが必要だと考えていた。最初はそれがどこかは分からなかった。彼らはサビはクールだけど、ヴァースは少し工夫が必要だということに気づいた。
(レコーディングはニューヨーク市マンハッタン)48番街のA&R(スタジオ)でやった。僕はドラムルームにいた。そのような状況にあるとき、コントロールルームに行って話を聞いたりするのは簡単ではないことが多かったんだけど、彼らと一緒に仕事をしているうちに、いつ入って話を聞けばいいのかわかるようになった。
何かを調べたり話したりすることも多かったけど、そんなときは僕はドラムルームにいた。テイクとテイクの合間は、常にいろいろな練習をしていた。それが練習のクリエイティブなはけ口だった。
大きな音でやるわけでもなく、技術的にやるわけでもなく、ちょっとした、いろいろなパターンを練習していた。ハイハットを足で弾いて、その後に左手で叩くとかね。そういう感じ。
フィルは、僕がそういう練習をしているのを聴いて、たぶんそれを小さなグルーヴにまとめていたんだろうけど、彼は“ヴァースでもそういうことをやってみたら?”と言ってくれた。
皆から了解を得るのが大事なんだ、わかるかい? それで最終的に了解を得てさ、それが(あのドラム・イントロになった)...僕にとってラッキーな日だったんだよ」