「彼らは専用のリハーサル室を持っていたので、ほとんどはスタジオに入る前に、そこでやった。その後、いろいろと追加した。スティーヴン(モリス)は、Apple IIコンピュータでスピーチシンセサイザーを操作して、“How does it f-f-f-feel?”と吃音になるようにしていた。当時はMIDIタイムコードがなかったので、22トラックしか使えず、そのうち2トラックは同期パルスに使われていたので、同じトラックにいろいろなものを入れなければならなかった。何か別の録音をしているときに、うっかりスピーチシンセサイザーを消してしまった。彼はあまり乗り気ではなかったので、もう一度やり直す気にはなれなかった。彼が私を許したかどうかはわからない」
私は、自分の力が及ばずに理解できないのではと少し思っていたけど、その点、クラフトワークにはちょっと肩透かしを食らったような感じだった。彼らが話しを進めるものだと思っていたけど、彼らはただ座っているだけで、私がこの曲(Tour De France)のリミックスを作ることを期待していた。でもそれは、私が慣れ親しんだ仕事の仕方ではなかった。私は新しいタイプのエンジニアだった。『Power, Corruption & Lies』は、エンジニアとして初めて自分の手でレコーディングしたアルバムでした。昨年出版されたカール・バルトスの著書『The Sound Of The Machine』を読んだら、かなり褒め称えていた。彼らがムッとして出て行ったとは確かに言っていないね」
「私が本当に最初にやったことがほとんどで、それがとてもうまくいったというのは奇妙なことだよ。スタジオに入った最初の週は、ピンク・フロイドの『The Wall』のサウンドエフェクトを担当し“Another Brick In The Wall [Part 2]”の子供たちを録音した。だから、私が実際に録音して発売された最初のものは、クリスマスNo.1曲だった。そして、その数年後に録音した“Blue Monday”は、12インチとしては史上最大の売り上げを記録している。それ以来、着実に下降を続けているよ!」