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ベトナムで2,000年前の弦楽器を発見

2023/03/03 17:44掲載
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デジタル処理でペグと弦を追加した2,000年前の楽器(A)と、他のベトナムの楽器(B、C、D)を比較したもの Illustration and photos: Fredeliza Campos
デジタル処理でペグと弦を追加した2,000年前の楽器(A)と、他のベトナムの楽器(B、C、D)を比較したもの Illustration and photos: Fredeliza Campos
ベトナムで2,000年前の弦楽器が発見されました。考古学者たちはベトナム南部で掘り出した鹿の角が2,000年前の楽器だと考えています。

オーストラリア国立大学(ANU)の主任研究員で博士課程の学生であるフレデリザ・カンポスは、こう話しています。ANU Reporterより。

「この弦楽器は、東南アジアにおけるこの種の楽器の最も初期のものの一つです。この地域で最も古い楽器として知られているリソフォン(石琴)と、より現代的な楽器との間のギャップを埋めるものです。 長さは35cmほどで、片方の端にペグ用の穴があって、これはチューニングに重要だったでしょう。また、弦を支えるためのブリッジのようなものもありました。これ以外の用途は考えられません」

カンポス研究員は、ベトナムのロンアン博物館の共同研究者と共に、600以上の骨製の遺物を分析しました。

共同研究者のジェニファー・ハルは「サイズも、鹿の角の形も、似たようなものは見つかりませんでした。このことは、この遺物が、おそらく音楽家である専門家によって作られたことを示唆しています」と話しています。

この遺物は、ベトナム南部のロンアン省にあるゴー・オー・チュア(Go O Chua)遺跡で発見されました。また、埋葬品の一部と思われる3つの同じ青銅の鐘も発見されました。

カンポス研究員は「この地域の初期文化において、音楽が重要な役割を果たしていたことは明らかです。私たちが調査した遺物と、現在も演奏されているいくつかの弦楽器との間の著しい類似性は、ベトナムの伝統音楽の起源が先史時代にあることを示唆しています」と話しています。

この楽器がどのように演奏され、どのような音を出していたかは不明ですが、カンポス研究員は、クニー(K'ny)のような現代のベトナムの楽器に似ていたのではないかと考えています。

カンポス研究員は「クニーは一弦の弓奏楽器で、奏者の口が共鳴器の役割を果たすことで独自に制御されます。ピアノでよく聞かれる半音階よりもはるかに多くの音や音色を奏でることができます」と話しています。

この楽器の製作に使われた鹿の角は、東南アジア大陸に生息するインドホッグ種のサンバールジカである可能性が高いという。

この研究は『Antiquity』誌に掲載されています。