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従来のプラスチック製ピックでは得られない音色を実現した世界初の「シリカガラス製ピック」 演奏映像公開

2023/02/21 17:43掲載
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浮世絵をモチーフとした3D イラストの 微細加工を施したシリカガラス製ピック - 九州大学
浮世絵をモチーフとした3D イラストの 微細加工を施したシリカガラス製ピック - 九州大学
九州大学の研究者たちは、従来のプラスチック製ピックでは得られない音色を実現したという世界初の「シリカガラス製ピック」を開発しました。この素材は、一般的なピック素材に比べ、強度と密度が大幅に向上したから、従来品とは異なる煌びやかな高音を持つ音響特性を得ることに成功したという。この「シリカガラス製ピック」が実際に使われている演奏映像が公開されています。



現在、「シリカガラス製ピック」は市販されていませんが、このピックをすべてのミュージシャンが使えるようにするため、ピックメーカーの池田工業、ガラス製造企業の湖北工業と協議を進めているという。

以下、九州大学のプレスリリースより

 九州大学グローバルイノベーションセンター藤野茂教授は、京都産業大学情報理工学部伊藤慎一郎准教授、池田工業株式会社、湖北工業株式会社と共同で、世界初のシリカガラス製楽器用ピックを開発しました。シリカガラスは光透過性、機械的強度、耐熱性、耐薬品性などの物性において優れており、古代よりツタンカーメンの胸飾りの宝石として利用されていた素材です。藤野教授の研究グループは従来の加工技術では困難な微細形状を容易且つ安価に作製する技術を開発しました。シリカガラスの有する高い剛性、軽量かつ振動減衰が小さいという特性に着目し、楽器用ピックを着想しました。

 シリカガラスは、従来楽器用ピックとして用いられるセルロイド等の樹脂素材に比べ機械的強度や密度が大きいことから、従来品とは異なる煌びやかな高音を持つ音響特性を得ることに成功しました。更にピックメーカーの池田工業株式会社、ガラス製造企業の湖北工業株式会社と共同で音楽アーティスト向けの最終製品への実現に向け開発しました。

藤野茂教授よりひとこと

 ピック以外にも3Dモデルのデータさえあれば、これまで不可能であった形状やデザインも本手法により実現可能となります。貴方の創造力を機能性ガラスの創製に!

●サンプル音源