ポピュラー音楽界の偉大な作曲家の一人、
バート・バカラック(Burt Bacharach)が死去。英BBCや米Varietyによると、2月8日にロサンゼルスの自宅で亡くなっています。彼の広報担当のティナ・ブラウサムが発表。自然死/老衰と発表されています。94歳でした。
ソングライター、作曲家、プロデューサー、アレンジャーとして、半世紀にわたりアメリカのポピュラー音楽をリードしてきたバート・バカラックは1928年5月、米ミズーリー州カンサスシティ生まれ。
歌手を目指していた母親の影響で、幼いころからピアノやドラムスなどを学び、一家がニューヨークへ移住したのを契機に、音楽に目覚め、デイジー・ガレスピーやチャーリー・パーカーなどのジャズ、そして近代クラシック音楽を代表するラヴェルなどに刺激され、音楽の道を志す。大学卒業後、ピアニストとして数年間活動したあと、ニューヨークに戻り、作曲家としての活動をスタートさせる。この作曲家としての下積み時代にマレーネ・ディートリッヒと出会い、彼女の伴奏ピアニスト、アレンジャー、指揮者を務めた。
1956年ごろ、バカラックのキャリアを語る上で欠かすことの出来ない人物である作詞家のハル・デヴィッドと出会う。2人はコンビを組んで作詞作曲を開始。ディオンヌ・ワーウィックのヒット曲「Don't Make Me Over」をはじめ、「Walk On By」、「(They Long To Be)Close To You」、「What The World Needs Now Is Love」、「I Say A Little Prayer」など、後世に残る数々の名曲を発表。2人のコラボレーションは1970年代まで続き、“バカラック・サウンド”と呼ばれる独特のスタイルを編み出した。産み落とされた楽曲の数々は、時代やジャンルを超越したスタンダードとして広く世界の音楽ファンに親しまれている。
バカラックは60年代から、映画音楽の世界でも活躍。『何かいいことないか小猫チャン』『アルフィー』『007/カジノ・ロワイヤル』『明日に向って撃て!』『ミスター・アーサー』などのサウンドトラックを担当。『明日に向って撃て!』ではアカデミー作曲賞、歌曲賞を受賞。そのテーマ曲「雨にぬれても」(歌はB.J.トーマス)は、世界的な大ヒットを記録。1981年には『ミスター・アーサー』で再びアカデミー歌曲賞を受賞した。
近年では、映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』の主題歌の共作をきっかけに生まれたエルヴィス・コステロとの共演アルバム『Painted from Memory』でグラミー賞を受賞。2008年にはグラミーで生涯功労賞を受賞した。