Karen Carpenter (Photo: Doug Griffin/Toronto Star via Getty Images)
カーペンターズ(Carpenters)の
カレン・カーペンター(Karen Carpenter)は、美しい歌声を持つ、唯一無二のヴォーカリストとして称賛されていますが、ドラマーとしてももっと注目されるべきだと
シーラ・E(Sheila E.)や
シンディ・ブラックマン・サンタナ(Cindy Blackman Santana)が米Yahoo Entertainmentのインタビューの中で語っています。
プリンス(Prince)との交流でも知られるパーカッション奏者/ドラマー/シンガー、
シーラ・E(Sheila E)は、こう話しています。
「どうして彼女の演奏が多くの人の目に留まらなかったのか分からない。私が最初に影響を受けた人は誰か、あるいはドラムを演奏する他の女性について聞かれたとき、私はいつも言っています。最初に思い浮かべるのは、カレン・カーペンターですとね」
「彼女は、私が初めて見たドラムを演奏する女性でした。私はかなり若く、まだティーンエイジャーの前だった。彼女がテレビでドラムを叩いているのを初めて見て、父(※ラテン・パーカッション奏者のピート・エスコヴェード)に“パパ、パパ、見て! 私と同じようにドラムを叩いている女の子がいる!しかも兄がいる。どうして私たちはテレビ番組にでれないの?”と言いました(笑)。
その番組の中で、彼女がドラム、パーカッション、ヴァイブスと、楽器を次々に変えていくシーンがあったんだけど、それは本当にすごかった。彼女はバイブやラテン・パーカッションのようなパーカッションも演奏していた。彼女が番組で演奏するたびに、何かちょっと特別なことをやって、演奏できることをみんなに見せようとしていた。まるで、ドラム隊で学んだかのような演奏だった。彼女はあの番組のほとんどすべてのエピソードでドラムを演奏していたのに、カレン・カーペンターがすごいドラマーだと、なぜ分からないのかしらね?」
「この業界に入って、歌ったり、演奏するようになると、ドラムから遠ざかってしまうんです。何がヒットしているか、ラジオで何が流れているかということがテーマになる。歌に重点が置かれ、自分の楽器にあまり重点が置かれていないこともある。私も同じように感じていた。ある時期から、もっとフロントで歌わなければならないことが多くなり、時にはドラムがなくても歌わなければならなくなったので、いつの間にかドラムから遠ざかっているような気がしたんです。ただ、いつもドラムがないのはおかしいと思っていた。カレンもそういう立場に置かれていたのかもしれない。彼女の自尊心の低さ、自分をどう見ていたか、フロントに出ることのプレッシャーや、それをやりたくないという気持ちが、彼女を苦しめていたのは残念なことです。そういうことができない人もいるんです。そのプレッシャーは、確かに理解できます」
「(カレンの死について)悲しかった。特に女性として、パーカッショニスト、ドラマー、シンガーとして、いわゆる男性のパートを演奏するというプレッシャーは、女性としてとてもチャレンジングなものでした。彼女にそのようなエネルギーがあったのかどうかはわからないけど、私は彼女に質問をしてみたかった。彼女に聞きたいのは、自分がドラマーであること、“ドラムを叩ける女性”であること、あるいは単に優れたミュージシャンであることを、それを証明しなければならないと感じていたのか、ということです。また、男性からあることないこと言われるような立場だったのか?ドラムを叩いている女性をあまり見かけないので、女性であることを詮索されたりしませんでしたか?そういうことを彼女に聞いてみたかった。
彼女はたまたま女性だっただけで、すごいミュージシャンだった。彼女は素晴らしいドラマーだった。彼女のドラムやパーカッションの腕前は...音楽的にバイブも演奏できるし、ジャンプもできる...つまり、彼女は自分のやっていることを偽っていなかった。あれは本物だった。彼女が弾いたルーディメンツ(基礎奏法)やさまざまなリズムは、私は今でも演奏することができない。彼女が演奏したものを私は演奏することができない。絶対に無理です」
「ドラマーとしてのカレンについてもっと知りたい人は、YouTubeで調べてみてほしい。きっとショックを受けると思いますよ。バラエティー番組での彼女のクリップが非常に多くて、特に、彼女がすべての楽器を演奏している映像は必見です。あれを全部弾くには、アレンジが大変なんです。見ていてとても美しかった。彼女はすごいドラマーだった--“女性ドラマー”という意味じゃないです。彼女は素晴らしいドラマーであり、ミュージシャンであり、アーティストであり、シンガーであり、プロデューサーであり、アレンジャーだった。彼女はたまたま、自分の好きなことをやっている美しい女性だったんです」
レニー・クラヴィッツ、ジョス・ストーン、ビル・ラズウェル、夫のカルロス・サンタナなど、多くのアーティストと共演してきたドラマーのシンディ・ブラックマン・サンタナは、最近までカレンの腕前に気づいていなかったという。こう話しています。
「彼女のドラム演奏がそれに値する注目を浴びていないこと、もっと注目しておくべきだったと、自責の念を感じています。数年前にたまたま彼女の演奏ビデオを見ました。彼女は明らかにドラムに時間をかけて取り組んでいて、それを尊敬している。彼女が(デイヴ・ブルーベックのドラマー) ジョー・モレロのことが好きなことがわかったし、彼女がソックシンバルを演奏しているビデオも見ました。彼女がそのシンバルがパパ・ジョー(カウント・ベイシー・オーケストラのパイオニア、ジョー・ジョーンズ)からのものだと気づいているかどうかは別として、彼女はドラムの偉大な歴史と系譜をチェックしていたわけで、私はそれを完全に尊敬しています。彼女は明らかに初歩を学び、それを演奏できるようになるために時間をかけていることがわかりました」
「彼女はフロントに出て歌うのは気まずいと思ったに違いない。私は歌うときは、ドラムの後ろにいるのが好き。そこが安全な空間だから。彼女にとってもそうだったのだろうと想像できる。彼女は明らかにドラムが好きなのだから。ドラムから離れ、フロントに出てくるようになったのは、バンドを紹介し、歌を紹介するという商業主義が生み出したものであり、ある意味、ビジネスの本質のようなものだと思います。彼女がドラマーだったという点では、残念なことです。多くの人が、彼女が楽器に堪能であったという事実をひどく見逃していると思います。そのことを多くの人に知ってもらうことが重要だと思います。
多くの人が彼女は演奏していないと思っていました。(セッション・ミュージシャンとして有名な)ハル・ブレインが彼らのバンドにいたから、2人のドラマーがいたこともあった。だから、“あれはハルだ、彼女じゃない!”と言う人もいたかもしれない。でも彼女は演奏していたし、彼女だけの素晴らしいクリップがある。...私は、そのクリップが、ドラマーとしての彼女にもっと光を与え続けることを本当に願っています」