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トッド・ラングレン 活発なライヴ活動の理由&アナログ盤よりデジタル派である理由を語る

2023/01/31 18:26掲載
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Todd Rundgren
Todd Rundgren
トッド・ラングレン(Todd Rundgren)は最近、自身のツアーに加え、ビートルズ『Rubber Soul』『Revolver』を祝うトリビュート・ライヴ、ダリル・ホールのオープニング・アクト、デヴィッド・ボウイのトリビュート・ライヴ『Celebrating David Bowie』に参加するなど、活発なライヴ活動を行っています。これには理由がありました。Relixのインタビューの中で話しています。またアナログレコードよりデジタル派だというトッドは、その理由についても話しています。

トッドはインタビューの中でこう話しています。

「ライヴに参加して、まだ僕が働いていることを見せなければ、人々は僕を忘れてしまい、次はないだろうと、ひそかに思っているんだ」

Q:熱狂的なファンがいるだけに、「忘れられるかも」というのは意外な気がします。

「僕は彼らのために、わざわざ足を運ぶ価値のあるライヴを提供しているけど、彼らが期待しているものとは違うこともある。だから、もし僕が何か面白いこと、驚くようなこと、満足のいくことをやっていなければ、人々は離れていってしまうのではないかといつも思っているんだ。

年齢を重ねるにつれて、観客を維持するのは難しくなる。人は若い頃ほど音楽にお金をかけられなくなる。それに、年をとったり、死んでしまったりすることで、自然消滅してしまうこともあるからね(笑)。

年を取れば取るほど、観客はどんどん減っていくものなんだ。だから、僕は常に観客を開拓し、新しい観客を獲得しようと努めている。それが、今年(2022年)、他の仕事にも携わるようになった理由のひとつでもある。自分のツアーは1ヶ月だけで、あとは『Rubber Soul/Revolver』ツアーやダリル・ホールのオープニング・アクトをやった。これからは『Celebrating David Bowie』に参加する。自分のことを覚えてもらい、将来的にチケットを買ってもらうためには、常に人前に出ることが不可欠なんだ。

定期的に出ていかないと、人々は忘れがちだからね。コアなファンは確かに存在するけど、会場を埋めるには、あまり熱心でなく、ただ一晩のエンターテインメントを楽しみたい人たちも必要なんだ。その人たちは、1曲だけ聴きたいだけかもしれない。

僕たちは、音楽が芸術の中心的だった世代だ。幼少期は音楽にしか興味がなかった。だから、多くの人にとって、ある曲を聴くと、ある時代に引き戻される。僕が“Hello It's Me”を演奏すると、ある人は初めて世界を体験し、すべてが明るくて新しい時代へタイムトラベルするような気分になるんだよ」

トッドは同じインタビューの中で、さまざまなアーティストとコラボレーションした最新アルバム『Space Force』について話しているとき、トッドはアナログレコードについて話しています。

「いつか、みんなが送ってくれたオリジナル・デモと、実際に完成したものを収録したアルバムを出したら面白いんじゃないかと思うんだ。そうすれば、デモと完成品を比較することができるしね」

Q:とても面白いことだと思うのですが、管理上の障害があるのではと思いますが。

「そうかもしれないね。『Space Force』の時は、(リリース元の)Cleopatra Recordsにアナログレコードを出す前にデジタルでリリースするように話したんだけどね。僕は、もっと早くリリースした方が良いと思っていたんだけど、彼らはすべてのフォーマットを一度にリリースすることにこだわった。

そのため、プレス工場が利用可能になるまで待たされた。70年代のレコード不足の最悪期を思い起こさせるよね。

当時のもうひとつの問題は、アルバム・アートに時間がかかるということだった。実際のプレスはもっと後でも、3カ月前に納品しなければならなかったんだ。

僕はレコードの時代にスタートし、デジタル化の時代を生きてきたけど、レコードにそれほどノスタルジーを感じたことはない。

多くの人がノスタルジーを感じるのには、さまざまな理由がある。例えば、1平方フィートのグラフィックがきれいに描かれていて、印刷も読みやすい大きさだった。ライナーノーツを読むのに虫眼鏡は必要ない。また、レコードを集めるのに、中身だけでなく、ジャケットも重要視されるようになった。ピンク・フロイドのジャケットを手がけたイギリスのデザイン会社、ヒプノシスの全盛期だった。アルバム・ジャケットは芸術の域に達していた」

Q:お気に入りの一枚はありますか?

「ヒプノシスが手がけた『Back to the Bars』のジャケットが好きだね。でも、アートワークの多くは自分でやっているんだ。その多くは必要に迫られてのことだったけどね。

僕にとってレコードは神話的なものなんだ。人々の考えは事実に基づいていない。温かみがあるとか、そういう主観的な言葉を使う人がいる。しかし、事実として、LPの外側より内側の方が音は悪い。それは、レコードが再生されるにつれて、同じ量の音を、より少ない面積で得ようとするからなんだ。

温かさについて語る人もいるけど、その人は、なぜか音が悪くなっているのが聴こえないようだ。僕は多くのレコードをマスタリングしてきたため、テストプレスをチェックするプロセスの一環として、それを聴き取ることができる。

だから、いわゆる音質については、どう考えてもディスク全体で同じなので、僕はずっとデジタル形式の方が好きだ。

確かに、デジタルの黎明期には、うまくいかないこともあった。ディザリングがなかったから、フェードアウトが長いアルバムは、最後まで行くと突然止まってしまった。でも、最終的には、そのようなことが解明され、多くの問題が解決されたよ」

トッドは次回作について、こう話しています。

「実はもう次のアルバムのことを考え始めているんだ。曲作りに戻るつもりだけど、次のアルバムは、人類学の研究になる。人類学は人間を研究する学問だと思うので、余計なお世話かもしれないけどね(笑)」