テレヴィジョンのトム・ヴァーレインが死去

ニューヨーク・パンクの代表的バンド、テレヴィジョン（Television）の象徴的なフロントマン、トム・ヴァーレイン（Tom Verlaine）が死去。ニューヨーク・タイムズや米NPRによると、短い闘病生活の後、ニューヨークで亡くなっています。73歳でした。

トム・ヴァーレインは、1949年にニュージャージー州生まれ。本名はトーマス・ミラー。デラウェア州ホッケシンの私立寄宿学校であるサンフォード・スクールに通っていたとき、後にリチャード・ヘルと名乗ることになるリチャード・レスター・マイヤーズと親しくなる。2人は芸術と音楽で意気投合し、一緒に学校を抜け出し、1960年代後半にニューヨークに居を構えた。そのニューヨークで、フランスの象徴主義詩人ポール・ヴェルレーヌへのオマージュとして、トム・ヴァーレインを名乗ることにした。

ヴァーレインとヘルは1972年にドラマーのビリー・フィッカと共に最初のバンド、ネオン・ボーイズを結成した。すぐに解散したが、ギタリストのリチャード・ロイドを迎え、1973年にテレヴィジョンを結成した。1974年から75年にかけて、マクシズ・カンザス・シティやCBGBといったダウンタウンのライヴ・ハウスでカルト的な人気を集めた。1975年にヘルがバンドを脱退した（その後、ハートブレイカーズを結成）。

1975年にマネージャーのテリー・オークのレーベルから7インチ・シングルを出した後、テレヴィジョンはエレクトラ・レコードと契約し、1977年に1stアルバム『Marquee Moon』をリリース。既にライヴでの評価も高かった彼らのデビューアルバムは、アメリカ国内のみならずヨーロッパにおいても、音楽誌や評論家たちに絶賛され、商業的成功も収めた。1978年には2ndアルバム『Adventure』を発表。同年に解散した。

テレヴィジョン解散後まもなく、ヴァーレインは音楽を追求し続けることを決意し、1979年にソロ・デビューを果たした。80年代には『Dreamtime』、『Words From the Front』、『Cover』、『Flash Light』の4枚のフルアルバムを発表。その後10年間に3枚のアルバムを発表し、その後しばらく活動を休止した。最後のソロアルバム『Songs and Other Things』と『Around』は2006年に発表された。また、様々なミュージシャンとも仕事をした。

ヴァーレインは70年代半ばにはパティ・スミスと交際し、彼女のアルバム『Horses』『Easter』にも参加した。

テレヴィジョンは90年代初頭に一時的に再結成し、セルフタイトルのスタジオアルバムを録音した。1993年、再び活動を休止するが、2001年に再々結成した。