ジョン・フォガティ(John Fogerty)は、音楽ビジネス史上最も長く最も厄介な法廷闘争の1つを終え、CCRこと
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(Creedence Clearwater Revival)の楽曲の音楽出版権(著作権)を、その楽曲が最初にリリースされてから50年以上経った今、世界中で手に入れることが出来ました。
フォガティはコンコード・レコードからCCR楽曲の世界的な音楽出版権の過半数を非公開の金額で取得しました。これには「Proud Mary」「Fortunate Son」「Bad Moon Rising」「Up Around the Bend」「Have You Ever Seen Rain」などが含まれています。
フォガティの法的苦境は、CCRが1967年にソウル・ゼインツのファンタジー・レコードと契約した60年近く前に始まりました。フォガティは、この契約条件を不当と考えるようになり、何年もファンタジー・レコードからの脱却を図りました。この契約から逃れるため、フォガティは1980年にゼインツにアーティスト印税を譲渡し、その後何十年もゼインツから支払いを受けることはありませんでした。
その後、フォガティとゼインツによる法廷闘争が始まり、泥沼化しました。ゼインツは、フォガティの1985年のソロ・ヒット曲「The Old Man Down the Road」がCCRの「Run Through the Jungle」を模倣したとして、フォガティを盗作で訴えたのは有名な話です。当然フォガティが勝訴しています。
これら訴訟は、フォガティの人生の数十年を費やし、好きな曲が歌えなくなったため、フォガティは心身疲労となってミュージシャン活動を事実上休止していた時期もありました。
フォガティは1989年にゼインツから音楽出版権を取得しようとし、2人は数字に合意したものの、土壇場でゼインツが価格を倍増させたため、取引は決裂したとフォガティは語っていました。
ゼインツはCCRの利益で得た資金で映画プロデューサーとして成功し、手がけた3本の映画『カッコーの巣の上で』『アマデウス』『イングリッシュ・ペイシェント』がアカデミー賞を受賞しました。ゼインツは2014年に亡くなっています。
2004年、コンコード・レコードがファンタジー・レコードを買収すると、誠意ある対応を取ります。フォガティが1980年にザエンツに譲渡したアーティスト印税を復活させました。
そして、フォガティは最近、コンコードからCCR楽曲の世界的な音楽出版権の過半数を非公開の金額で取得しました。
米国著作権法に基づくと、楽曲がリリースされてから56年経った時点で権利の一部が彼に戻り始めるそうで、それを知った妻でマネージャーのジュリー・フォガティが全世界での権利を過半数取得できるように交渉したことで、今回の件が実現したとのこと。
コンコードは現在もCCRの原盤を所有しており、フォガティの音楽出版分も払い続ける予定です。
フォガティは今回の件について、こう話しています。
「この1月から、また自分の曲を持つことができるようになりました。こんなことは絶対にあり得ないことだと思っていました。50年の時を経て、ようやく自分の曲と再会することができました。また、自分の曲をどこで、どのように使うかについての発言権もあります。今年まで、それは決してできなかったことでした。今年もツアーとお祝いを楽しみにしています。このようなことを実現するために協力してくれたコンコードに感謝したい。そして、新しいアイデアと、私の音楽への新たな関心に期待しています......まるでリバイバルのようにね」