タイトル曲「Sweet Dreams (Are Made of This)」について「誰かが“Sweet Dreams、40年だよ”と言うと“すごいな”って思うよ。車に乗ると、なぜか3回に1回はユーリズミックスがラジオから流れてくる。コーヒーショップにいても、40年経ってもずっと流れているんだ。それは人、デュオ、バンドに関係すると思うけど、僕は本当に曲の力だと思っているんだよ。曲は王様、本当に」と話しています。
1981年のデビューアルバム『In the Garden』があまり良い出来ではなかったため、スチュワートとアニー・レノックス(Annie Lennox)は『Sweet Dreams』のアルバム制作において、DIY的なアプローチを採用しました。まず、プロジェクトの資金調達のために銀行から融資を受けました。スチュワートはこう振り返っています。
融資を受けると、デュオはロンドンのチョークヒル地区にある額縁工場の上の倉庫スペースに自分たちの8トラック録音スタジオを設置しました(セッションは後に北ロンドンのチャーチ・スタジオに移る)。ゲスト・ミュージシャンが多数参加した『In the Garden』とは対照的に、『Sweet Dreams』は主にレノックスとスチュワートだけで構成されていました
このような実験から生まれたのがタイトルトラックです。スチュワートは「Sweet Dreams (Are Made of This)」の誕生をこう振り返っています。
「アニーに苛立ちを感じていた時期で、それにカップルとしても別れてしまった時期だったから、憂鬱なムードがあった。アニーは(スタジオの)床に横たわっていて、僕はこの奇妙なドラムコンピューター(MkI Movement Systems MCS)をいじっていた。アダムと僕は、これを作っている人のフロアにいた。当時は他のドラム・コンピューターとは違うものだった。そして、あのドラムのようなビート、ブーン!という音を出すようになった。
それからアニーは“Sweet dreams are made of this...”と歌い始めた。15分後に完成したんだけど、真ん中がなかった。その時、僕は“ちょっと待てよ、セクションがあるはずだ”と言った。この曲はディストピア的な曲だから、“Hold your head up, keep your head up”なんて、この世の終わりじゃないみたいな感じで歌ったらどうだろうって言ったんだよ」
『Sweet Dreams』のレコーディング・セッションでは、サム&デイヴ「Wrap It Up」のエレクトロポップ・カヴァー、「Jennifer」、「Love Is a Stranger」も話題になりました。
スチュワートは「Love Is a Stranger」について、「イギリスでは“Sweet Dreams”の前にリリースされた。“Love Is a Stranger”はシンセサイザーのように聞こえるけど、その多くは僕がギターでとても奇妙なペダルを通したもので、とても奇妙な音の混合物なんだ。一つはトレモディロと呼ばれるもので、トレモロに少し似ているけどもっと奇妙なものなんだ」と話しています。
アルバム『Sweet Dreams (Are Made of This)』から最初のシングル3曲「This Is the House」「The Walk」「Love Is a Stranger」はイギリスのチャートで上位に食い込むことはありませんでした。しかし、4枚目のシングルとしてリリースされたタイトル曲は、スチュワート曰く「門戸を開いた」ものでした。
「イギリスはアメリカとは違うんだ。イギリスとアメリカでは、リリースされる時期が違う。“This Is the House”や“Love Is a Stranger”は、すべてイギリスでリリースされ、『Sweet Dreams』へと発展していった。ところがアメリカでは、ラジオのDJが流していたことで“Sweet Dreams”が知らないうちに爆発的にヒットしていたんだ」
「Sweet Dreams (Are Made of This)」の人気は、有名なミュージックビデオによってさらに強固なものになりました。
ユーリズミックスと「Sweet Dreams (Are Made of This)」の出現は、一時アメリカを席巻したイギリスのシンセポップの爆発と重なり、1990年代初頭に解散するまでの間、デュオにとって実り多い時期となりました。
「アルバム『Sweet Dreams』の後、曲が次々と生まれた。“Here Comes the Rain Again”、“Would I Lie to You”、“Missionary Man”、“Thorn in My Side”など、次から次へと曲が生まれた。当時は、3週間かそこらでアルバムを作ったり、ツアーに出たり、あれをやったり、これをやったりと、ても速いスピードで進んでいた」と振り返っています。
2022年11月、再結成したユーリズミックスはロックの殿堂入りを果たしました。ロサンゼルスでの殿堂入り式典で、「Would I Lie to You」、「Missionary Man」、「Sweet Dreams」のメドレーを披露しました。スチュワートはその経験について語っています。