アンドレイ・タルコフスキー監督映画『惑星ソラリス』『鏡』『ストーカー』の音楽を担当し、ソビエトにおける電子音楽の先駆者でもあったロシアの作曲家
エドゥアルド・アルテミエフ(Eduard Artemyev)が死去。彼の息子がロシアのタス通信に亡くなったことを伝えています。息子によると、細菌性肺炎の治療中に合併症が起こり、集中治療室に移された後、12月29日に亡くなっています。アルテミエフは86歳でした。
エドゥアルド・アルテミエフは1937年11月ノヴォシビルスクに生まれる。モスクワ音楽院でエフゲニー・ムズリンに師事した。
電子音楽とシンセサイザーへの関心は、卒業後の1960年、電子音楽がまだ黎明期にあった頃に始まった。1960年、アルテミエフは、最初のシンセサイザーの一つ、ANSシンセサイザー(ロシアの作曲家・ピアニストにちなんで「ANS/アレクサンドル・ニコラエヴィチ・スクリャービン」と呼ばれる)を開発したエンジニア、エヴゲニー・ムルジンと出会う。1961年から1963年にかけて、アルテミエフはムルジンの下で、モスクワの軍事研究所の音響研究室で上級エンジニアとして働くと同時に、音楽スタジオで実験をし、合成音と電子音楽の合成に関する研究を行った。1967年にはANSシンセサイザーで最初の作曲を行った。こうして、アルテミエフは、電子音楽というジャンルで活動するロシア人作曲家の最初の一人となった。
1960年代から映画音楽で注目されはじめる。1961年に作曲家ヴァーノ・ムラデリの助言にしたがって映画『再会の夢』に音楽を提供。1970年代には、アンドレイ・タルコフスキー監督とのコラボレーションにより、その名を知られるようになった。タルコフスキー監督映画『惑星ソラリス』『鏡』『ストーカー』のほか、アンドレイ・コンチャロフスキーやニキータ・ミハルコフなどの映画音楽も手がけた。アルテミエフは150本以上の映画やドキュメンタリーなどに音楽を提供した。
またアルテミエフの音楽は、1980年のモスクワ・オリンピックと2014年のソチ・オリンピックでも使われた。