"Weird Al" Yankovic / Eat It
パロディ音楽家
アル・ヤンコビック("Weird Al" Yankovic)は、
マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)のパロディ・ソングである、「Beat It」のパロディ「Eat It」と、「Bad」のパロディ「Fat」について解説しています。
ヤンコビックは、このほか、自身を代表するパロディ・ソングについて、米ファッション誌『GQ』のインタビューの中で解説しています。
■Eat It
「“Eat It”には大きな期待をしていたけど、こんなに大きな作品になるとは思ってもみなかった。一夜にして有名になったんだ、まるで神話のような話だよ。“Eat It”がMTVでヘビーローテーションされた翌日から、僕はどこに行っても認められるようになった。当時はみんなMTVに夢中だったからね。1984年だった。
みんなマイケル・ジャクソンのビデオをよく知っていたから、パロディを作るのはとても簡単だった。それを再現すればいいだけだからね。僕たちがすべきことは、それを再現しつつ、ほんの少し手を加えるだけだった。
マイケル・ジャクソンのビデオでギャングのリーダーを務めていたヴィンス・パターソンという振付師がいるんだけど、幸いなことに、彼は僕のビデオにも出演することに同意してくれた。
マイケル・ジャクソンのように踊れるよう、できる限り努力したよ。だから面白いんだよ、だって僕はダンサーじゃないんだから。ダンサーになったことは一度もない。僕は、ただの運動音痴で、ひょろっとした変人なんだ。そんな男がマイケル・ジャクソンのように踊ろうとしてるのが面白いんだよ。おかしいだろ?」
■Fat
「“Bad”のビデオを初めて見たのは、たぶんワールドプレミアだったと思う。ビデオが終わる前に“Fat”のアイデアが浮かんだ。いつもなら、コンセプトについて本当に長い時間かけて考えて、いろいろな選択肢を考えるんだけど、今回はすぐに思いついた。900キロの男が地下鉄の改札を通ろうとしている姿を想像したんだ。“ああ、デブ(fat)だ、デブ(fat)じゃないとダメだ。“Eat It”の続編みたいな感じだな”“これはもう、やるしかない!”と思ったんだよ。
マイケル・ジャクソンのところに連絡して、彼がOKかどうか確認したところ、OKだった。そして、これは驚くべきことなんだけど、彼は彼のセットを使わせてくれた。そう、今回は、実際にマイケル・ジャクソンのセットで撮影したんだ。彼らはちょうど、それを取り壊すところだった。それを知った僕たちは“いやいや、そこで撮らせてくれ!”と言ったんだよ。
2日間、ダンサーと一緒に撮影して、3日目は朝から撮影した。この日は、顔面爆破の撮影だけだった。今だったら、そんなの簡単にCGでできる。コンピューターで簡単にできることだけど、これは1988年の話しなので、実際に行われたんだ。
ラテックスのぼうこうを風船のように接着剤で僕の顔に貼り付けた。その後、僕の顔から地面までチューブを走らせた。そこには特殊効果果の人たちが地面に寝転がっていて、ストローで息を吹きかけて、僕の顔を膨らませたんだ。そのテイクで僕はこう言った。“OK、最後のテイクは、僕の顔を爆発するまで吹き上げて”。それで彼らは僕の顔を膨らませて、僕の頭の上で爆発させたんだ。爆発するフレームまですべてを使ったよ」