欧米のライヴ音楽の現在　米メタルバンドは欧州ツアーを行うがコスト増で約270万円の損失を出す　クラウドファンディングで支援求める

欧米のライヴ音楽の現在。ある米国のメタルバンドは6週間のヨーロッパ・ツアーを行ったものの、コスト増とマーチャンダイズの不振により、帰国したときには2万ドル（約270万円）の損失を出していたという。このバンドは損失を埋めるためにサイトGofundmeにてクラウドファンディング・キャンペーンを行っています。このバンドの名前はIrist。英Metal Hammer誌はバンド・メンバーにインタビューしています。

Bruno Segovia：
「ヨーロッパに行った途端、ガソリン代が急激に上がったんだ。商品の売り上げは予想の3分の1だった。多少の損失は予想していたけど、実際に起きたことは全然違った。チケット代は別にして、数千ドルの損失だと思っていたんだよ。

飛行機代は別にして、（損失は）2万ドルくらいかな。商品代、宿泊費、ガソリン代、バンのレンタル代とか、全て合わせたものだよ。ガソリン代は結局、1日30〜50ユーロと予想より高くついた。一泊60ユーロくらいの安いホテルがあると言われていたんだけど、平均は120ユーロから150ユーロだった」

Pablo Davila：
「6週間もツアーに出ていたことを考慮すると、かなりの金額になった。コストだけでなく、マーチャンダイズも見込んでいた金額には遠く及ばなかったんだ」

Bruno Segovia：
「（マーチャンダイズは）予想では一晩300ユーロから500ユーロだったんだけど、結局平均すると100ユーロかそこらだった。うまくいった公演もあったよ。（マンチェスターの）Damnation Festivalは驚異的だったけど、それが最後だった。

（各公演の出演料は）平均して1泊200ユーロくらいかな。一攫千金とはいかないけど、翌日の食事代やガソリン代、次のホテル代には十分だった。それを事前にもらえるので、お金が足りなくなることはなかったんだ。本当に助かったよ。

（このような状況はライブミュージック全体の将来にとって、どれくらいの悪影響があるのか？と聞かれ）僕らの経験が普通なのか、これから普通になっていくのかはわからないけど、もしそうなっていくのであれば、ツアーに出られる新進気鋭のバンドはいなくなるだろうね。誰がそんな余裕があるんだい？　俺らには絶対無理。

新型コロナウイルスのパンデミックの時にRodrigo（Iristのシンガー）と話したんだけど、彼はバンドが観光物化する可能性について話していた。つまり、人々はバンドがいる場所に行くようになるか、あるいは、より地域的なツアーに限定されるようになるとか話していたんだ。

僕らは間違いなく続けていくつもりだけど、すぐにツアーを再開することはないと思う。立ち直るにはしばらく時間がかかりそうだ。

もう6週間のツアーは絶対にやらないよ。6週間はちょっと多すぎるというのが皆の意見なんだ」