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ジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンの元妻パティ・ボイドが選ぶ「私の人生を語る10曲」

2022/12/10 20:59掲載
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Pattie Boyd: My Life in Pictures
Pattie Boyd: My Life in Pictures
ジョージ・ハリスン(George Harrison)エリック・クラプトン(Eric Clapton)の元妻で、モデル・写真家として知られるパティ・ボイド(Pattie Boyd)。20世紀を代表するミューズのひとりである彼女が、自分のストーリーを最もよく表している10曲「私の人生を語る10曲」を選んでいます。新しい本『Pattie Boyd: My Life in Pictures』の出版にあわせ、英Classic Rockが企画。

●The Glenn Miller Band - In The Mood

「このリストは、私が子供の頃に聴いた音楽から始めます。継父のボビー・ゲイマー・ジョーンズは1枚だけレコードを持っていて、それがこれでした。私はこの曲が大好きで、とてもロマンチックだと思いました。今でもそう思っています。ベルベットのようなやわらかい音色がします。時代を超えて愛されている曲です」



●Elvis Presley - Jailhouse Rock

「その2、3年後にエルヴィスが登場しました。『監獄ロック』が英国の映画館で上映されていたので、どうしても見たかったのですが、義父が暴力的すぎると言って行かせてくれませんでした。子供たちが席から飛び上がって踊っているのをみて、これはひどい行為だと思ったそうです。代わりに音楽を聴かせてもらいました。

家には巨大なレコードプレーヤー付きラジオがあって、彼が仕事に行くまで待って、それから妹(ジェニー、後にモデル兼アーティストとなり、ミック・フリートウッドと結婚する)と一緒に踊りまくって、最高にエキサイティングでした。グレン・ミラーからは信じられない変化でした」



●Buddy Holly - Raining In My Heart

「10代の若者は、愛を探しても見つからないような気持ちになることがあります。バディの歌詞はとても美しく、若い女の子は、憧れや寂しさ、悲しみといった感情をストレートに表現することができます。私は修道女が運営する全寮制の学校に通っていて、楽しかったけれど、時々孤独を感じることがありました。だから、ブラウニーズやガールガイドに参加して、何かできることを探していました」



●Bessie Smith - Downhearted Blues

「17歳で家を出て、サウスケンジントンで3人の女の子とアパートをシェアしていました。彼女たちはみんなボーイフレンドがいるようでしたが、私はいませんでした。昔のブルース・ジャズ・シンガー、ベッシー・スミスをよく聴いていたのですが、彼女の歌はとても惨めで、私も惨めな気持ちになりました(笑)。私は彼を見つけることはできないと思ったら、ベッシー・スミスがそれを歌ってくれた。それが私のブルースでした」



●The Beatles - A Day In The Life

「ジョージ・マーティンとビートルズは、音楽的な実験をすることを心から楽しみ始めていた。レコードを聴いてもらえばわかるように、彼らは本当にそれをやり遂げた。私が今まで聴いた中で最も爆発的な音楽で、今までとは全く違うものでした。時々、アビーロードにいるバンドを訪ねて、そこで“A Day In The Life”を断片的に聴きました。

ビートルズは陽気で、彼らが何を言っているのかわからないことがよくありました。彼らはスカウス(リヴァプール方言)を使っていて、私たちが聞いたこともないような言葉を使っていました。彼らは自分たちの周りで起こっていることを反映するのが好きで、ジョンは新聞で読んだニュースについて書いていました。ジョージはその一部をカセットに録音して帰ってきて、さらにそこに追加していました。最後のものを聴いたとき、どんどん大きくなっていくので、“なんてこった、これは完全に狂っている!”と思いました」



●Otis Redding - Sitting On The Dock Of The Bay

「60年代は、アメリカから流れてくる音楽を聴くのが好きでした。でも、今回はロックンロールじゃなかった。それはオーティスで、ソウルで、とてもクールだった。優しくて美しい、彼の歌声は素晴らしかった」



●The Beach Boys - Good Vibrations

「ある日、(ローリング・ストーンズのマネージャー)アンドリュー・ルーグ・オールダムと一緒にいたとき、私と友人たちはランチを食べていました。彼は“みんな僕の部屋に戻って来てくれ”と言ったので、私たちは部屋に戻り、彼はこのレコードをかけました。マリファナをやっていたかもしれませんが、アンドリューは大音量で聴かせてくれて、“この音楽はとんでもない!”と思いました。衝撃的でした。

イギリスのバンドもアメリカのバンドも、次に何が出てくるのか、すごく聞きたがっていたんです。ザ・バーズやビーチ・ボーイズはビートルズが何をやっているのか知りたがっていたし、その逆もまた然り。お互いに支え合い、それが新しいことへの挑戦に拍車をかけました」



●The Rolling Stones - (I Can’t Get No) Satisfaction

「この曲は、まさにストーンズ、彼らそのものでした! 若い頃の彼らは何事にも満足せず、“ただひたすら突っ走れ、どこかに俺たちのための何かがあるはずだ”と心に強く決意を固めていました。彼らはこの曲でそれを見事に成功させました。この曲は、とてもセクシーな曲で、ダンスに最適で、クラブでもよく響いていました。セント・ジェームスのスコッチ、バッグ・オ・ネイルズ、ピカデリーのハチェットなど、いろいろなクラブに通いました。ジョージは踊らなかったので、時々一人で踊ることもありました。リンゴは素晴らしいダンサーで、彼とモーリンは見ていてとても楽しかったです」



●Bob Dylan - Lay Lady Lay

「ボブの音楽は全部好き。大ファンです。彼の歌詞は思慮深く、人間の行動に対する洞察に富んでいて、時には少し残酷だとも思う。“Lay Lady Lay”は、ルーズでスリンキーなサウンドがとてもクールで、彼の声がとても美しい曲です。ボブには何度か会いました。ジョージと一緒にニューヨーク州の郊外にある彼の家に泊まったことがあります。

ボブには、ハグやキスをしに行くのを止めてしまうようなところがあります。彼は(行動などが)回避的だし、雑談もしないけど、魅力が尽きません。彼は“つるむ ”ような人ではありません。ジョージも少しはそうでしたが、音楽の話をするのが彼の限界でした」



●Eric Clapton and Wynton Marsalis - Layla

「ウィントン・マルサリスは偉大なジャズ・ブルース・トランペッターで、(2011年にニューヨークで行われたライヴで披露された)このヴァージョンはとても素晴らしい。エリックのギター演奏とウィントン、ホーンセクションの組み合わせは魔法のようです。初めて“Layla”を聴いたとき、とても嬉しかったし、少し恥ずかしかった。この曲は私のことを歌っていて、彼はとても愛情深く、情熱的な歌詞を書いていたから。誰かが私のことをそんな風に思ってくれて、こんな歌詞を書いてくれるなんて、信じられませんでした。

エリックは自分のバンドでツアーに出ていて、数週間でロンドンに帰ってきました。彼は私に、バンドの部屋に来て、彼らがマイアミでやったことを聴いてみないかと言いました。彼はカセットテープでそれを聴かせてくれて“僕がなぜこれを書いたかわかるよね...”と言いました。私は“どうしよう、本当に?これはちょっと公の場では....私はジョージと結婚しているのよ”となりました。

大好きだけど、同時に消えて欲しかった。頭の中で大嵐が起きていた。エリックはとても魅力的でセクシーだと思ったし、話していてとても楽しい人だった。ジョージとうまくいっていない時期で、エリックは聞き上手でした」



●ボーナス曲

1968年にジョージが彼女のために書いた曲で、1969年のアルバム『Abbey Road』に収録された「Something」についても話しています。

「この曲は最も象徴的で、美しくて、名曲です。ジョージが初めて演奏してくれたときは、スタジオから出てきたばかりで、とても生々しいヴァージョンでした。その前の晩、ビートルズ全員がアビー・ロードから抜け出したとき、ジョージは(エンジニアの)グリン・ジョンズのもとに行って、“君に曲を聴かせたいんだけど、他のメンバーの前ではやりたくなかったんだ”と言いました。彼が“Something”を弾くと、グリンは“ 嘘でしょ? 素晴らしいよ。明日やろう”と言ったそうです」