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科学者たちはコウモリが「デスメタルのうなり声」を使ってコミュニケーションをとっていることを発見

2022/12/01 16:20掲載
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Bats - Photograph: Nature Picture Library/Alamy
Bats - Photograph: Nature Picture Library/Alamy
科学者たちは、コウモリが「デスメタルのうなり声」を使ってコミュニケーションをとっていることを発見。しかも、その声域はほとんどの人間を遥かに凌駕しており、7オクターブもの音域を自在に操ることができるという。

コウモリは、暗闇で飛んでいる昆虫の位置を確認するために超音波を発しますが、その一方で、互いにコミュニケーションをとるために、声帯の少し上方にあるヒダ「仮声帯(前庭ひだ、喉頭前庭とも)」を使って、低周波の鳴き声を出して交信しています。

人間のデスメタル・シンガーも、この「仮声帯」を使って「デスメタルのうなり声」をあげており、コウモリも同じ発声法を使っていることが今回発見されています。「仮声帯」を使って音を出すのは動物界では珍しいという。

研究を率いた南デンマーク大学のコーエン・エレマンス教授は「夏にコウモリの集団に耳をすませば、これらの鳴き声をはっきりと聞くことができます。この低周波の鳴き声の役割はまだわかっていませんが、彼らはお互いに迷惑をかけたり、彼らが飛び去ったり、集団に参加するときに、この低周波の鳴き声を出しています」と話しています。

この発見は、科学者たちが、コウモリが反響定位(※動物が音や超音波を発し、その反響によって物体の距離・方向・大きさなどを知ること)のために高周波音を発する仕組みの研究しようとしたときに、偶然知ったものでした。コウモリの声帯の動きを高速度カメラで撮影したところ、「仮声帯」が1〜5キロヘルツの低周波で振動していることに気づいたのです。

エレマンス教授は英ガーディアン紙に「人間がこの声帯を使うのは、デスメタルの歌唱時や、喉歌(※トゥバン。中央アジアの民族に伝わる特殊な歌い方)の時だけです。振動は非常に不規則になり、非常に荒くなり、それがデスメタルのうなり声になるのです」と話しています。

ほとんどの人間の声域が3オクターブ程度で、5オクターブの声域を持つ人間は非常に少なく、マライア・キャリーやプリンスが有名な例です。それに対し、コウモリは7オクターブもの音域を自在に操ることができるという。

この研究はPlos Biologyに掲載されています。