Ian Gillan (Image credit: Will Ireland)
ディープ・パープル(Deep Purple) は長い間、『Deep Purple in Rock』の収録曲「Child in Time」をライヴで演奏していません。海外のセットリストサイトsetlist.fmによると、最後に演奏したのは2002年4月30日インドネシア公演でした。なぜライヴで演奏しないのか? ヴォーカリストの
イアン・ギラン(Ian Gillan) はスペインのRockFMのインタビューの中で話しています。
「いや、それは無理なんだよ。キーを下げることはできるけど、同じ音にはならない。俺はいつもこの例え話をしている。若い頃、俺はアスリートで、よく棒高跳びをやっていた。25歳の時、棒高跳びが出来なくなった。26歳だったかな? いや、もういいや。忘れてくれ、とにかく、できないんだ。
“Child in Time”は曲ではなく、オリンピックの種目のようなものだといつも考えていた。とても挑戦的だった。若いころは楽勝だった。それが38歳くらいになったとき、これじゃダメだと思ったんだ。どうもうまくいかない。
だから、下手なことはしないほうがいいと思ったんだよ。今までもそうだった。決して(後ろを)振り返ることはなかった。
その決断をした38歳の時、“なんてこった、もう人生の半分近くが過ぎてしまった”と思い、将来について考えるようになった。残りの人生、ずっとシンガーでいたいのか? もちろんだ。俺は5歳のときから歌っていたし、家族はみんな音楽家で、歌手やミュージシャンだった。
それで、どうすればいいんだろう? この叫び声だけで知られたくない。80歳になっても、70歳になっても叫んでいたいとは思わない。でも、俺は77歳になっても、まだ叫んでいる。ある程度まではね。
でも、あの音をコントロールしたり、高めたりするのは、正直言って、俺には無理なんだよ」
また同じインタビューの中でギランは、バッキング・トラックを使用して口パクで演奏しているバンドについても話しています。
「個人的には、それは不正行為だと思う。好きでじゃない。
最初に気付いたのは...名前は言わないが、やっている人はたくさん知っている。20年前、あるアメリカのビッグバンドがイギリスにやってきて、一緒に演奏したときに初めて気づいたんだ。
その時のサウンドチェックを聴いて“なんて良い音なんだ。素晴らしい”と思った。すると、モニター・エンジニアが“見てよ......”と言った。当時はまだ無線も何もない時代で、“あそこのキャラバンを見てよ”と言われたんだ(笑)。ステージから地面に沿ってケーブルが伸びていて“立ち入り禁止”の看板が立っている。そこにはモニターとミキシングデスクがあって、テープと調整とプレイバックとインイヤーモニターがあった。
彼らは基本的にパントマイムをやっていた。まあ、口パクとは言わないかな。一緒に歌ってはいたけど、その声は使われていたわけではなかった。リップシンクは非常に巧妙だったので気づかれなかったんだ。
この3カ月で出会った人たちの中には“今は別のものに頼っている”と言って、本当にショックを受けている人がたくさんいる。昔はドラッグだったけど、今はテープだ、とね(笑)」
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