United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland: UK
英国人ミュージシャンを対象にした新しい調査によると、生活費などが高騰する中、91%が音楽機材を買う余裕がないと答え、90%が現在の収入で食事をすることができるかどうか心配し、半数が業界を去ることを余儀なくされることを非常に心配しているという。エネルギーや燃料費の高騰により、ライヴの移動やリハーサルスペースの暖房が困難になっている人も多いようです。
英ガーディアン紙によると、同国のミュージシャンを支援している慈善団体Help Musiciansは英国人アーティスト525人を対象に調査を行いました。その結果、生活費の危機、英国のEU離脱(ブレグジット)、エネルギーとや燃料費の値上げが重なり、多くのミュージシャンが苦境に立たされていることがわかりました。98%のミュージシャンが英国でのコスト上昇を懸念しています。
Help MusiciansのCEOであるJames Ainscoughによると、ブレグジットやパンデミックの影響が続いているため、コスト上昇の問題はさらに深刻化しているという。
「ミュージシャンは、2022年にかなりの苦戦を強いられました。インフレがはびこって人件費が高騰しているだけでなく、新型コロナウイルスに感染してライヴをキャンセルしなければならないこと、観客がパンデミック以前のレベルには戻っていないこと、ブレグジットの影響でツアーが困難になっていることなど、さまざまな要因が重なっています。これらのことが重なり、本当に残酷な環境を作り出しているのです」
調査によると、ミュージシャンの60%が1年前よりも収入が減っていると答えており、10人に8人がパンデミック前よりも収入が減っていると報告しています。
「ミュージシャンががかつて経験したことのないような状況です」と Ainscoughは話しています。
Ainscoughは「英国では、音楽は非常に成功している産業です。パンデミック以前は、年間50億ポンド以上の経済効果がありました。英国を代表する産業として、音楽が草の根から枯れてしまわないようにする必要があります。音楽は私たちの魂を高揚させ、人々をひとつにするものです。この先6〜12ヶ月の間に、才能あるミュージシャンが次々と音楽界から去っていくようなことがないようにすることが、みんなの利益になるのです。その影響は何年も何年も続くかもしれません」
Help Musiciansの調査によると、調査対象者のうち68%が自分の精神状態はパンデミック以前よりも悪化していると回答しており、Help Musiciansのサポートサービスへの問い合わせは今年に入ってから34%増加しています。
この調査結果を受け、Help Musiciansは今年、ミュージシャンを支援するサービスに800万ポンドを投資することを約束しました。これには、年中無休のメンタルヘルスサポート、メンタリング、ツアー資金提供、債務管理サービスなどが含まれます。