ニルヴァーナ(Nirvana)の
カート・コバーン(Kurt Cobain)は1989年のツアー中、ステージで何度もギターを叩き壊したため、全てのギターを壊してしまい、まったくギターを弾かない公演もありました。その公演後、彼はステージで壊した1973年製フェンダー・ムスタングと友人が持っていたギブソンSGを交換しました。今回、そのムスタングがオークションに出品され、486,400ドル(約6840万円)で落札されています。落札予想価格は20万ドルから40万ドル(約3000万円〜約6000万円)でした。
この1973年製フェンダー・ムスタングは、1989年のデビュー・アルバム『Bleach』リリース後に行われたニルヴァーナ初のアメリカ・ツアーでカートが使用したものです。ツアー中、カートはギターを壊すことを日常的に行っており、フェンダー・ストラトキャスター2本など、壊されたギターの多くはすでにオークションに出品されています。
オークション大手のJulien's Auctionsによると、ニルヴァーナの7月9日公演を「Blew」で締めくくった際、カートはこのムスタングを修理不能なまでに破壊したという。その4日後の公演でカートは別のギター、ユニヴォックスを叩き壊しました(これは2016年にオークションに出品されています)。
そのため、7月15日のニルヴァーナのライヴでは、カートはギターを持たず、すべてギターなしでパフォーマンスを行いました。
ライヴ終了後、カートは当時Hullabalooというバンドで活動していたスラッゴ・コーリーのアパートに泊まった際、壁に壊れたギブソンSGがかかっているのを見つけます。
カートはスラッゴに、自分のムスタングと、彼のSGの交換を持ちかけます。カートは、ギブソンの方が修理が簡単で、将来的にライヴに使える可能性があったと考えたようです。
スラッゴは2020年のこの時のことを振り返っています。
「カートは、僕が壁に掛けていた壊れたギブソンSGをもらえないかと言ってきた。“なぜ?”と聞いたら“そんなにひどい壊れ方をしているようには見えないし、後で修理して壊せばいい”と答えたんだよ。“いいよ、でもこれで壁にかけるものがなくなっちゃうよ”と言ったら、カートは“すぐ戻るよ”と答えて、彼は自分たちのバンまで出かけていって、修理不能と判断された1973年製のフェンダー・ムスタングを僕にプレゼントしてくれたんだ」
カートはマスタングにメッセージも書いています。「やあ、スラッゴ、トレードありがとう。ロックンロールが違法なら、俺のケツを牢屋にぶち込んでくれ、ニルヴァーナ」と刻まれています。
■オークション・ページ
https://www.julienslive.com/