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ブラジル音楽界のカリスマ/トロピカリアの象徴的歌手 ガル・コスタ死去

2022/11/10 10:45掲載
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Gal Costa
Gal Costa
ブラジル音楽界のカリスマ的存在で、1960年代後半からのトロピカリア・ムーブメントの中心人物であったガル・コスタ(Gal Costa)が死去。コスタのSNSアカウントが11月9日の朝にサンパウロで亡くなったことを発表。死因は明らかにされていません。77歳でした。

トロピカリアは、カエターノ・ヴェローゾやジルベルト・ジルといったミュージシャンによる音楽ムーヴメントを中心に、現代美術、演劇、映画等の各種カウンター・カルチャーが連動して広がっていった芸術運動。ガル・コスタはそのムーブメントにおける女性歌手・ギタープレイヤーの第一人者でした。

ガル・コスタことマリア・ダ・グラサ・コスタ・ペンナ・ブルゴスは、1945年9月、ブラジル北東部のバイーア州で生まれる。トロピカリアのスター、カエターノ・ヴェローゾとジルベルト・ジルとは若い頃に出会い、1964年8月の「Nos, por exemplo」コンサートでは2人と共演。この時、この3人のミュージシャンによる長年のコラボレーションが始まり、コスタはその後数十年にわたり2人のソングライターが書いた曲を演奏し、レコーディングした。1967年にはヴェローゾとのコラボレーション・アルバム『Domingo』を発表。

コスタはその後も、ブラジル全土に広がるMPB(ムジカ・ポプラール・ブラジレイラ)のムーブメントの一員として録音と演奏を続けた。1973年のアルバム『India』と1971年のライヴ・アルバム『Gal a Todo Vapor』は、このムーブメントを代表するアルバムとされている。2011年、ラテン・グラミー賞の生涯功労賞を受賞した。

ジルベルト・ジルは訃報を受け、SNSに「私たちの妹がいなくなった。ガル、私はガウチャと呼んでいた。私にとっても、私と親しかった人たちにとっても、そして彼女の歌に魅了された多くの人たちにとっても、彼女がいなくなるのは寂しいことです。今、彼女の歌声は、私たちの人生の残りの時間、私たちの歴史のすべての時間、私たちと一緒にいる」とコメントしています。