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ジューダス・プリーストのロブ・ハルフォード 80年代のグラム・メタル/ヘア・メタルについて語る

2022/11/02 14:38掲載
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Rob Halford / Biblical - Rob Halford's Heavy Metal Scriptures
Rob Halford / Biblical - Rob Halford's Heavy Metal Scriptures
ジューダス・プリースト(Judas Priest)ロブ・ハルフォード(Rob Halford)は、80年代のグラム・メタル/ヘア・メタルについて語る。2冊目の回顧録『Biblical』の発売にあわせて行われたUltimate Classic Rockのインタビューの中で話しています。

Q:この本では触れられていませんが、私はグラム・メタルの大ファンなので、あなたのパフォーマンスの中でも特に気に入っているのが、スキッド・ロウの『B-Side Ourselves EP』です。ここでは、バンドと一緒にステージ上で「Delivering the Goods」を披露していますよね。あのメンバーで集まってレコーディングした時の思い出があれば教えてください

「スタジオでの記憶は曖昧だけど、ライヴの時の記憶はとても鮮明に残っているよ。確かMTVのためにやったんじゃなかったかな? それが俺の......ミッドライフ・クライシス(中年の危機 ※中年期特有の心理的危機、また中高年が陥る鬱病や不安障害)の始まりだったと思う。

自分の心は正しい場所にあるとわかっているが、普通の--普通とは言わないけど---皆が知っている“ジューダス・プリーストのリード・シンガー、ロブ・ハルフォードだ”という世界からは完全に外れている。野球帽を後ろ向きにして、ノースリーブのヒップホップ・ベストを着て、穴のあいたズボンを履いているんだ。“こいつは何をしようとしているのか?”。この映像が大好きだよ。俺自身が混沌としたミッドライフ・クライシスの瞬間にいることがよくわかるからね。

この作品は、俺にとってとても深いものだった。あの時、俺は自分自身について多くを学んだ。バンドの演奏も素晴らしい。特にセバスチャン(バック)のパフォーマンは素晴らしい出来だった。昨晩、LAフォーラムでテイラー(ホーキンス)のためにブラック・サバスの曲を何曲か演奏しているセバスチャンをYouTubeで見たよ。セバスチャン良いよね。彼はクレイジーで、今でも髪を振り乱して、全力でパフォーマンスしている。彼のことは16歳のときから知っているけど、彼はそのことを決して忘れようとしない。その点では、彼の粘り強さが大好きなんだよ。グラム・ロックとは言わないけど、セバスチャンのことはよくわかるよ。

グラム・ロックのムーブメントについて考えてみると、具体的に言うと、それを後押ししてくれたのはモトリー・クルーとポイズンだった。あとシンデレラやウィンガー、LAガンズも多少はね。グラム・ロックの時代には、いろいろなものが入ってきた。セバスチャンは、男が女に見えたときと笑顔で言っていた。そしてそれが功を奏した。80年代にはホモフォビック(※同性愛者に対する偏見)のようなものがあって、それがよくわからなかった。化粧をした男たちがいて......言葉に気をつけないといけないんだけど、わかるかな? “ああ、こいつらは本当にハードコアだ”と思うようなで目で見るんだよ。でも、ゲイである俺は“何か見落としていないか? 俺はキャリアやバンドを失うのを恐れてカミングアウトできないのに、どうしてアイツらはあんな格好で出て行って、みんなに憧れられるんだろう?”と思ったよ。全員というわけではなかったけど、一般的なイメージとしては、みんなああいう格好をしなきゃいけなかった。誰もがあんな格好をしなければならなかった。ヘヴィメタルやロックにおいて、広い意味で注目すべき時代だったんだ」

Q:言葉は悪いですが、実に興味深い流用でしたね。あなたがおっしゃるように、彼らは基本的に女性のような格好をして、化粧をしたりするのですが、その一方で、彼らの男らしさに疑問を呈すると、それが侮辱であるかのように振舞うのですからね。

「本があるね。間違いなくあるね」

Q:3冊目かもしれない。

「そうかもしれないね。俺は彼らのことが大好きだよ。彼らの音楽も、彼らが成し遂げたこともすべてが大好きなんだ。彼らはとても重要な存在だ。彼らがいたからこそ、LGBTQコミュニティーの中にチャンスが生まれたのかもしれない。もしかしたら、彼らが受け入れるための小さな扉を開けてくれたのかもしれない。だって、昔はあんな格好でライヴに出る人がたくさんいたからね。80年代にフェニックスにいた俺の友人の一人は、化粧をして、髪も整えていた。そういう格好をしてバンドを観に行っていたんだ。人類学的な側面から見ると、そのような見た目がクールであり、何の反発もなく受け入れられているという社会的なつながりは、非常に興味深いものだった。当時のヘヴィメタルの中でも実に興味深い部分だよ。その点では、俺自身も含めて......完全ではないけど、『Turbo』の頃を見れば、俺らの見た目、グレン(ティプトン)の髪型、ケン(K・K・ダウニング)の髪型を見れば、俺らはみんな同じメルティング・ポット(人種のるつぼ ※さまざまな民族が集まり、文化的に溶け合っている社会)にいたんだよ。80年代は、メタル、グラム・ロック、ロック、どんな呼び方でもいいんだけど、素晴らしい時代だった。視覚的な表現が並外れたものだったよね」