レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(Red Hot Chili Peppers)は2022年に2枚のアルバムをリリースしましたが、
ジョン・フルシアンテ(John Frusciante)によると、バンドはもともと、40曲入りのアナログレコード7枚組をリリース計画だったという。所属レーベルのワーナー・レコードはこの計画に難色を示し、彼らの楽曲を2枚のアルバムに分割することで妥協点が見出されたとのこと。Mixmagの新しいインタビューの中で話しています。
またフルシアンテは同じインタビューの中で、エレクトロニック・ミュージックへの情熱を話しています。彼はトリックフィンガー名義でエレクトロニック・ミュージックをリリースしています。
「自分のエレクトロニック・ミュージックではあまりお金を稼げないんだ」「おそらく、これまで稼いだ金額よりも機材に費やしていると思うけど、(2019年に)バンドに再加入するまでの約12年間はエレクトロニック・ミュージックしかやっていなかった。チリ・ペッパーズにいるのは間違いなくフルタイムの仕事だよ。レッド・ホット・チリ・ペッパーズは、僕が音楽の世界で経験した唯一の本当の仕事なんだ」
では、その始まりはどこからだったのでしょうか?
「子供の頃、親のコレクションの中からエマーソン、レイク&パーマーのレコードを見つけた。そのレコードは奇妙なシンセサイザー音から始まって、一体何が起こっているのか分からなかった! 僕にとってとても刺激的なものだったよ。僕にとってのシンセポップは、クラフトワークから始まっている。普通のポップミュージックとはメロディーのセンスが違っていて、ある意味、機械的なんだ。
60年代のポップミュージックや70年代初期のポップミュージックに見られるようなハートフルものとはまた違う、新しい道を切り開いてくれた。ほとんどのエレクトロニック・ミュージックは、今でも多くの点でクラフトワークがルーツだと思う。でも、それはジミ・ヘンドリックスのリフにもルーツがあって、ジミは信号処理で遊んでいて、それまで人々がやっていなかったようなあらゆる種類の動きを音楽で作り出したんだ」
フルシアンテはヒューマン・リーグやデペッシュ・モードへの愛についても話しています。
「特に『By The Way』を書いていた頃は、(ヒューマン・リーグに関連した)思い出がたくさんあるよ。リハーサルでは、毎日『Reproduction』を爆音で繰り返していた。特に最初の2枚のアルバムと初期のシングルが大好き。そして、多くのアンビエント・ミュージックの基礎となった、インストゥルメンタルの『Dignity Of Labour EP』(1979年)のようなものもある。彼らは未知の世界に飛び込んでいったんだよ!」
デペッシュ・モードは、1984年のシングル「Master And Servant」が特にお気に入りだという。「僕はデペッシュ・モードの大ファンだよ。レッド・ホット・チリ・ペッパーズが『Californication』を書き始めた98年当時、僕は28歳で、人生をやり直したばかりだったんだ。社会復帰したとき、僕は別人のようになり、デペッシュ・モードは僕のお気に入りのバンドになったんだ。近くのVinyl FetishというUKの輸入盤をたくさん置いている店で、彼らの12インチをすべて買ったよ。“Master And Servant”はその中でも特に変なやつだよ」
フルシアンテは、最新アルバム『Return of the Dream Canteen』のエレクトロニックな側面についてこう話しています。
「『Return of the Dream Canteen』のエレクトロニックな側面が微妙かというと、それは聴き手次第だと思うんだよ。“Red Hot Chili Peppers-go-electronic”というわけではなく、僕がやっていることはブライアン・イーノのロキシー・ミュージックでの仕事をルーツにしているんだ。シンセやその他のガジェットを使って、ライヴ・グループのサウンドを変えたり、雰囲気や音の動きを作り出したり、予想外の音を頻繁に取り入れたりしているんだよ。
もうひとつの影響は、イギー・ポップの『The Idiot』でのデヴィッド・ボウイのシンセサイザーの使い方で、生のサウンドのライヴバンドに、奇妙で不潔なシンセサウンドが入ってきて、それが生のサウンドを劣らないものにしているんだ。シンセは曲とバンドをサポートするものだけど、時には変な方向に持っていくこともある。ライヴバンドを現実世界から異世界に連れ出すには、ほんの少しでいいんだ。また、リードヴォーカルのディレイやリバーブ、時にはシンセサイザーによる処理は、僕が電子音楽でサンプルに対して行っていることでもあるんだ。このようなことは、すべての楽器に対して行っている。エレクトロニクスの部分は、シンセと同じくらいスタジオをクリエイティブに使うことに関係しているんだ」
フルシアンテは「好きなDJは?」と尋ねられて、「ルーク・ヴァイバート以上のDJはいないよ!」と迷うことなく答えています。「彼のグルーヴはどこまでもディープだ」。