ジョン・ライドン(John Lydon)は、
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のアルバムで一番好きなのは『Bitches Brew』だと語り、また
パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd/PiL)の1986年アルバム『Album』のレコーディングにマイルスが参加したものの、最終的にマイルスの録音が使われなかった理由を、The Quietusの特集の中で話しています。
「マイルス・デイヴィスのアルバムで一番好きなのは『Bitches Brew』だ。
PiLが他の人ができないようなことを実現できるのは、とても不思議なことだった。例えば、ハーレムのダウンタウンにある映画館で演奏した年があった。小さな映画館だったんだけど、そこにジェームス・ブラッド・ウルマーが現れ、俺らの演奏を見た後、彼がバックステージにやってきて、“今まで聴いた中で最も素晴らしいものだった。自分の音楽について考えさせられたよ”と言っていた。俺は彼が冗談を言っているのだと思ったんだけど、どうやらそうではなかったようだね。アイズレー・ブラザーズもそう言っていたし、フォー・トップスの一人も言っていた(笑)。
今までで一番楽しかったのは...おいおい、君の名前は?マイルス! マイルス・デイヴィス! 彼は俺が『Album』(1986年)を作っているときにスタジオに入ってきたんだけど、俺がポップな感性の絶対的な枠組みにハマっていたので、それらの曲は意図的に非常に厳格な構造にしたものだった..意図的にきつくオーケストレーションしたポップスだったんだ。
俺が吠えていると、トランペットが吹き始めた、それは俺の後ろに立っていた彼だった。それは美しかったけど、ヴォーカルを完全に殺してしまった。問題は、彼が俺が歌っているのと全く同じように演奏していたことだった。同じメロディラインだったので、それを使うことができなかったんだ。面白かったんだけど...ごめんね、俺の録音が優先なんだ。“この人は偉大なジャズ・ミュージシャンだから”というのはなかったんだよ。
だから彼は『Album』から外されたんだ。でもね... 俺はマイルス・デイヴィビスのファンだから、彼が聴いてくれた曲を気に入ってくれたことに、とてもとても感激したんだ。
『Bitches Brew』が一番好きだよ。あれのドラムは見事だし、Canの『Tago Mago』のヤキ(リーベツァイト)のドラムにも合っている。あれは彼が演奏した中で最高のラインナップだった。他のものは、あまりにも簡単に日本人にコピーされ、音を完璧に作ってしまうんだ(笑)。あのアルバムには、フィーリングがある。マイルスのライヴには何度か行ったことがあるんだけど、俺もこのアイデアは好きで、よくやっていたんだ。彼がやっているのをよく見ていたんだよ。観客に背を向ける。時には、正しい気分になるために、そうすることが必要になることもあるんだ。 手を振ったり、キスをしたりしている観客から目をそらすこと。あるいは、“失せろ”と言われたりして、音楽的にどうあるべきかを邪魔されることもあるんだ」