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『ディスカバー・クイーン THE BOOK』刊行記念イベント レポート到着

2022/10/12 19:30掲載
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ディスカバー・クイーン THE BOOK
ディスカバー・クイーン THE BOOK
NHK-FMで1年間にわたって放送された『ディスカバー・クイーン』を書籍化。刊行記念イベントが9月24日(土)に芳林堂書店高田馬場店で行われました。出演は番組のメイン・パーソナリティであるサンプラザ中野くんと、ゲストにも登場した東郷かおる子(元ミュージック・ライフ編集長)。イベント当日のレポートが到着しています。

以下、シンコ−ミュージックより


写真左からサンプラザ中野くんと東郷かおる子さん

「ボヘミアン・ラプソディ」はスクリーンに片手を
伸ばしながら、もう片方で口を押さえて
“フレディー‼︎”って絶叫して─サンプラザ中野くん


NHK-FMで2021年4月から1年にわたり放送されていた人気番組『ディスカバー・クイーン』が書籍化。音楽の専門家と、クイーン・ファンの有名人たちが“クイーンとはなんぞや?”をとことん語り尽くした一冊となりました。、発売記念としてメイン・パーソナリティを務めたサンプラザ中野くんとゲストでも登場した東郷かおる子さんとの対談が実現。

東郷かおる子(以下東郷):東郷かおる子です。ミュージシャンでもありクイーンのファンでもあるサンプラザ中野くんがメイン・パーソナリティを務めるラジオ番組をまとめた本が出ました。今日出たばかりなので皆さんはまだ読まれてない方も多いと思いますが。
サンプラザ中野くん(以下中野くん):まさか、本になるとは思わずにやっていまして…、この本こんなに分厚いんですけど、面白いのですぐ読めます。──私はまだ読み切ってませんが(笑)。
東郷:私は全部を読み切るのに結構時間がかかりました。自分のところだけはスラスラ読めたんですけど、他の皆さんの重箱の隅をつつくみたいなところ、なんですかあれは。
中野くん:あれはなんていうんでしょうか、クイーン好きの方は知的レベルが高いというか、こだわりが激しくて。それを語っていただいたので、重箱の隅になってますね(笑)。本の表紙は日本を代表する漫画家の浦沢直樹さんにお願いしました。プロの漫画家になる前はギタリストとしてロックバンドをやっていて、クイーンもファンだし──ということで。今、世界中で「浦沢直樹展」が行われていて、例えばパリのルーヴル美術館で展覧会をやって…といった活動をなさっています。
東郷:というように、微に入り細に入り…の対談相手の方ばかりなので、皆さん、私のページのところでホッと息をつけます(笑)。
中野くん:いやいや、東郷さんはクイーンを日本でメジャーにした、世界中にアピールした方ですから。クイーンの“東洋の母”と言っても過言ではないと思います。
東郷:(笑)おかげさまで、色々なクイーン関係のメディアに出演させていただいたんですけど、そんな時にされる質問で困るのが、<東郷さんにとってクイーンとは何だったんですか?>。それで答えを色々考えて、これは私が本心からそう思っていることがあったいい答えが<青春を共にしたバンド>。
中野くん:その言葉も、この本の中にいただいております! 
東郷:本人たちはどう思っているか分からないですけど、私がしょっちゅうフラフラとメンバーの前に現れてた──というのは記憶にあると思うんですね、ブライアン・メイにもそう言われましたから。20代〜30代、ミュージック・ライフで仕事をしていた頃って人間が一番成長しなければいけない時期じゃないですか。
中野くん:そうですね、ものすごい葛藤もあるし、その分得るものもあって。
東郷:崖っぷちだけども頑張らなきゃならない時期。だから<青春を共にしたバンド>というのはいいかな、と。
中野くん:共にした〜というのがいいですよね。世界のクイーンと。
東郷:勝手に、言ってますけど(笑)。

ここでクイーンが初めて表紙になった1974年12月号、初来日後表紙を飾った1975年6月号のミュージック・ライフ誌が紹介され、当時のクイーンの勢いの凄さが語られた。

東郷:中野くんはクイーンに出会う前はどんなミュージシャンが好きだったんですか?
中野くん:さだまさしさん、かぐや姫さん、吉田拓郎さん、泉谷しげるさん──、日本語の歌が好きだったので、英語で知ってたのはビートルズくらい。ロックには疎かったんです。
東郷:それがまたなぜロックに行っちゃったの?
中野くん:クイーンを聞くに至ったのは、高校の時文通をしていた女の子の手紙の中に、<クイーンって素敵よね>と書いてあったから。とりあえず<そうだね、素敵だね>と返事を出して、すぐに友達に<クイーンって何?>って尋ねたら<知らないのかよ!>ってバカにされて。結局彼が<もう結構聴いたから>というクイーンのアルバムを譲ってもらって、初めて聴いたんですよ。
東郷:それは何ていうアルバム?
中野くん:『オペラ座の夜』だったんです!
東郷:クイーン初体験でいきなり『オペラ座の夜』。
中野くん:音が右から左から来て、ナンダコレは! というステレオ体験、人の声がいっぱい聞こえて、ガリレオ〜って何だ!!!って。で、当時はお小遣いも少なくて何枚もLPは買えないから、もうすり減るまで聴いて、『オペラ座の夜』!クイーンはカッコいい! と。
東郷:刷り込まれたわけね。
中野くん:最初、このコーラスは女の人がやってるのかな? と思ったんですけど、テレビでプロモーション・ビデオを見たら違っていて、この人たちは役者さんなのか???って何が何だか分からなくなって、クイーンは“沼”でした、“迷宮”でした。
東郷:いきなりの ガリレオ〜は凄い体験だったと思いますよ。私も最初に聴いたときは、“行くところまで行っちゃったな! クイーン”って思いました。数年前のクイーンのドキュメンタリーでブライアンが、<「ボヘミアン・ラプソディ」のコーラスは100回以上重ねた>って言ってました。今みたいにデジタル録音じゃないアナログ録音だから、その度に歌わせられた──って。
中野くん:今なら、重ねちゃおう──っていうのも、あれだけの肉体を使わなくてもデジタルのデータを微妙に加工して重ねていくことでできちゃう。
東郷:アナログの大変さを思って聴くと、改めて「ボヘミアン・ラプソディ」の凄さ、エグさが分かってきますね。
中野くん:しかも諦めない。時間だけじゃなく、メンバーの気力や体力との戦いもあるんだけど、ミキサーやエンジニアはずっと作業を続けてるんです。
東郷:神経もすり減らして。
中野くん:今はデジタルになって、家で作業ができるんで雲泥の差。
東郷:あの曲、一曲だけでも当時のクイーン凄さ、エグさ、執念深さがよく分かると思います。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」に話が及び、七回観て六回号泣したという中野くん。三回目くらいまで頭がおかしくなるくらい入り込み、スクリーンに片手を伸ばしながらもう片方で口を押さえて“フレディー‼︎‼︎”と絶叫していた。東郷さんは三回目に観た昼の回の終演後、隣の席の中年男性が突然タオルを出して号泣しているのに驚いたとのこと。

東郷:人間年を取ると泣けるほど感動することも多々ないんです。だけど映画を観て泣けたわけですよ。そういう体験ができるのは幸せだと思います。
中野くん:俺に向かって喋られてる気がする(笑) (会場爆笑)
東郷:中野くんはフレディが一番好き?
中野くん:僕のロック・ヴォーカリスト・アイドルは二人いて、フレディと忌野清志郎さん。奇しくも二人とも亡くなっていて。だから「忌野清志郎物語」っていう映画ができても、また号泣しに行けるんじゃないかって。
東郷:“キヨシロー‼︎‼︎”って。
中野くん:“キヨシロ〜〜‼︎‼︎”幸せだな、俺は。
東郷:私も映画のLIVE AIDのシーンになるとグッとくるわけですよ。ブライアンも<本当のLIVE AIDの音源を使ってる>って言ってました。フレデイ役のレミ・マレックも凄かったけど、ブライアン役のグウィリム・リーの動きはもうほとんどブライアン。ブライアンが乗り移ったみたいで驚きました。
中野くん:フレディばかり見ていて、ブライアンには注目していなかったので(笑)、今度よく見ます。

映画で描かれたバンド内の軋轢にシンパシーを感じた中野くん、この後しばし、楽曲の作者クレジットの問題やシングル曲の競い合いなど<バンド内あるある>の話題が続いた。

東郷:バンド活動をしていた人から見て、クイーンはどうなんですか。
中野くん:いやあ、本当に、「ザ バンド」というか、バンド・ストーリーですよね。<それまで一緒にやっていたバンドマンが、一人二人と抜けていって、補充して、また活動が上手くいくと近郊にツアーに出て、それを繰り返しているうちにライヴハウスでの評判が中央まで届き、それがレコード会社の若い現場の人から上に伝わって、じゃあプロでやってみれば…>というバンド・ストーリー。映画の中でのクイーンが俺と同じことをやってる!って思いました。
東郷:共感する部分が多かった。
中野くん:もう共感しかなかったです。
東郷:それで、中野くんはオリジナル・メンバーのクイーンのライヴはいつ頃観ました? 何回か来日してますけど。
中野くん:え〜と81年とかかな。
東郷:じゃあアメリカのマーケットで売れ出した、「地獄へ道づれ」「愛という名の欲望」の頃かな。
中野くん:武道館で観ました。
(場内から、「85年の武道館で中野くんを観ました!」の声)
中野くん:あ、じゃ80年代前半だと思ってたけど、85年の武道館だったんだ。
東郷:分かってよかったじゃないですか。
中野くん:よかったぁ。
東郷:憧れていたフレディを目の前にしてどうでした?
中野くん:目の前…って感じじゃなく、凄く遠かったんですけど、一番覚えているのは「ボヘミアン・ラプソディ」が始まって、あのコーラス部分はどうやって再現するんだろう──って思ってジーっと見てたら、テープ音源を再生してました。あぁ〜〜〜はぁ〜〜〜ってなった(笑)。
東郷:それが印象的だった。でも考えたら当たり前ですよね。あれはステージで再現なんかできるわけないじゃないですか。
中野くん:ですよね、メンバーしかいなかったし────あ、もう時間ですか?
東郷:じゃあ最後に、この「ディスカバー・クイーン THE BOOK」はどれくらいの方が登場するんですか?
中野くん:え〜〜と15人くらいは登場します(メイン・パーソナリティ:サンプラザ中野くん、解説:西脇辰弥、レギュラー:パッパラー河合、朝日順子/ゲスト:ROLLY、浦沢直樹、剛(中川家)、渡部陽一、東郷かおる子、東儀秀樹、東郷かおる子、デーモン閣下、佐藤竹善、世良公則、高見沢俊彦、錦織健(出演順))
東郷:ともかく、私を除くその方たちがもの凄いマニアックな話をしてくれてますので、ぜひ楽しんでいただきたいと思います。今日はありがとうございました!
中野くん:ありがとうございました!

この後、サイン会が行われた。
■ディスカバー・クイーン THE BOOK』
NHK-FM『ディスカバー・クイーン』制作班(編)
A5判/304頁/定価:2,970円(税込)/発売中
ISBN:978-4-401-65248-8